社長さん!!あなた逮捕されますよ!!~48~ 報酬設定の「5つの鉄則」(月給制・休業手当・昇給・比較対象)
建設分野における特定技能外国人の受入れにおいて、最も不備(不認定)が発生しやすいのが
「報酬(給与)」の設定です。
「日給制」が常態化している建設業界の慣習と、特定技能制度が求める「安定的な生計」の間には大きな乖離があるためです。
今回は、審査を通過し、かつ入国後の法令違反を防ぐために遵守すべき「5つの鉄則」について解説します。
1. 「完全月給制」の義務化(日給制の禁止)
要件の概要:賃金形態は「月給制」でなければなりません。欠勤がない限り毎月定額が支払われる必要があります。
建設分野の特定技能においては、外国人の生活安定を図るため、国交省のガイドラインにより「月給制」の採用が義務付けられています。
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認められる形態: 月給制(基本給が月単位で固定されているもの)。
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認められない形態: 日給制、時給制、日給月給制(「日給×出勤日数」で計算し、月払いで支払うもの)。
現在の日本人従業員が「日給月給制」であっても、特定技能外国人と雇用契約を結ぶ際は、以下の計算式等を用いて「月額の基本給」を算出・設定する必要があります。
この金額は、原則として毎月固定で支払われるものであり、現場の多少によって変動させてはなりません。
2. 「固定残業代」の除外
要件の概要:日本人との同等性を判断する際、固定残業代(みなし残業代)は基本給に含めることができません。
報酬額が適正かどうかの審査において、固定残業代を基本給に含めてカサ増しすることは認められません。
比較対象となる日本人従業員の給与と比較する際は、
「基本給+一律手当(資格手当等)」
のみで判定されます。
固定残業代を設定すること自体は可能ですが、審査上の「月額報酬」にはカウントされない点にご留意ください。
3. 天候不良等による「休業手当」の支払い
要件の概要:会社都合(天候含む)で現場が稼働しない場合、労働基準法に基づき休業手当の支払いが求められます。
建設現場特有の「雨天中止」や「現場の空き」が発生した場合の給与取扱いに注意が必要です。
完全月給制であれば通常通りの賃金が支払われますが、就業規則等で「不就労分の控除」を定めている場合であっても、以下のルールが適用されます。
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労働基準法第26条: 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければならない。
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特定技能の審査基準: 上記の休業手当が確実に支払われること(契約書や事前説明書に明記すること)が求められます。
国交省のQ&Aにおいても、「天候を理由とした欠勤扱いは認めない」と明記されており、厳格な運用が求められます。
4. 技能習熟に応じた「昇給」の確約
要件の概要:昇給の時期と金額(または率)を契約書に明記し、少なくとも年1回の昇給を実行する義務があります。
建設分野の特定技能制度は、キャリアアップシステム(CCUS)と連動した処遇改善を目的としています。そのため、「能力に応じて随時昇給」といった曖昧な規定は認められません。
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必須事項: 最低でも年1回の定期昇給。
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記載事項: 昇給の「時期」(例:毎年4月)および「金額の目安」(例:月額3,000円以上、または昇給率2%等)。
入国後の巡回指導(監査)において、計画通りに昇給が行われていないことが判明した場合、是正勧告や認定取消しの対象となります。
5. 比較対象となる「日本人技能者」の水準
要件の概要:同等の経験(概ね3年〜5年)を有する日本人技能者と比較し、同等以上の報酬額である必要があります。
報酬額の妥当性は、自社の日本人従業員との比較によって審査されます。
特定技能1号は「相当程度の技能」を有する在留資格であるため、比較対象とすべき日本人は
「入社3年目〜5年目程度の技能者」
となります。
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比較方法:
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同等の経験・技能を持つ日本人がいる場合 → その者の賃金台帳と比較。
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いない場合 → 賃金規定や、近隣の同業種・同規模企業の相場(賃金構造基本統計調査等)と比較。
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「外国人は最低賃金でよい」という認識は誤りです。経験年数に見合った適正な報酬設定が求められます。
まとめ
建設分野での特定技能雇用契約においては、以下の5点をクリアした「雇用契約書」および「雇用条件書」の作成が必須です。
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「完全月給制」であること
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「固定残業代」を含まずに水準を満たすこと
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「休業手当」の規定があること
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「昇給(年1回以上)」が具体的に約束されていること
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「3〜5年目の日本人」と同等額以上であること
実態は日給制であるにもかかわらず、書類上のみ月給制に見せかけて申請を行うことは、虚偽申請(入管法違反等)に該当します。
適正な受入れを行うため、既存の就業規則の見直しや、特定技能外国人向けの賃金規定の作成をご検討ください。
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