社長さん!!あなた逮捕されますよ!!~50~ 許可後の必須手続と巡回指導(受入報告・FITS講習・監査対応)

 建設分野における特定技能制度では、在留資格の許可(または変更許可)が下りた後も、国土交通省および適正就労監理機関(FITS)による厳格なモニタリングが継続されます。

 特に、入社直後の「受入報告」や、定期的な「昇給」の運用において不備が発覚した場合、受入計画の認定取消し等の処分を受ける可能性があります。

 今回は、就労開始後に受入企業が遵守すべき報告義務と、巡回指導(監査)におけるチェックポイントについて解説します。


1. 入社後1ヶ月以内の「受入報告」義務

要件の概要:就労開始から1ヶ月以内に、国交省のシステムで報告を行わなければ認定取消しの対象となります。

 建設特定技能受入計画の認定を受けた企業は、特定技能外国人の就労開始日(入国日または在留資格変更日)から1ヶ月以内に、外国人就労管理システム(JACシステム等)を通じて「受入報告」を行う義務があります。

報告期限を徒過した場合、告示に基づき「受入計画の認定の取消し」事由に該当するため、遅滞なき手続きが必要です。

【実務上の注意点:CCUSカードが届かない場合】

受入報告には「CCUS(建設キャリアアップシステム)の技能者ID」の入力と「カードの写し」の添付が必要です。 しかし、新規入国直後などでカードが手元に届いていない場合でも、期限を待つ必要はありません。

  • 対応策: システム上のID欄に「0(ゼロ)」を14桁入力し、添付書類として「CCUS登録申請中であることを証する書類(申請受付メールの写し等)」をアップロードすることで、期限内の報告が可能です(Q&A 7-7参照)。


2. 「受入れ後講習(FITS)」の賃金取扱い

要件の概要:講習の受講は「業務命令」であるため、通常の給与支払いが必要です。有給消化や欠勤扱いは認められません。

 建設特定技能外国人は、就労開始後にFITS(国際建設技能振興機構)が実施する「受入れ後講習」を受講する義務があります。この講習日は、労働法上の「労働時間(業務命令による研修)」として扱われます。

  • 給与: 通常の賃金を支払う必要があります(欠勤控除は不可)。

  • 休暇の扱い: 「有給休暇」を消化させて受講させることは認められません。

  • 費用: 受講料はJACが負担しますが、会場までの交通費や宿泊費が必要な場合は、原則として企業が負担します。


3. 巡回指導(監査)における重点チェック項目

要件の概要:FITSによる巡回指導では、計画通りの「月給支払い」と「昇給」が実行されているかを確認されます。

 受入れ後は、FITSの巡回指導員による定期的な監査(巡回指導)が行われます。 賃金台帳やタイムカード、CCUSの就業履歴等の提示が求められ、主に以下の点が確認されます。

① CCUSの就業履歴蓄積

 現場に入場する際は必ずカードリーダー等で就業履歴を蓄積(タッチ)しているか確認されます。出勤簿とCCUS履歴に乖離がある場合、管理体制の不備を指摘されます。

② 完全月給制の遵守

天候不順等による休業があった月でも、契約通りの「固定基本給」が支払われているか、振込明細等で確認されます。日割り計算による減額は認められません。

③ 昇給の履行(業績悪化時の特例なし)

 ここが最大の注意点です。受入計画で定めた「昇給(年1回以上等)」が確実に実行されているかが確認されます。

【重要:日本人の昇給が見送られても、特定技能は昇給必須】

 会社の業績悪化等を理由に、日本人従業員の昇給を見送るケースがありますが、

 特定技能外国人については「業績を理由とした昇給の見送り」は認められません。

 国交省のQ&A(7-11)においても、

「特定技能外国人の昇給は技能の習熟に応じた評価であるため、日本人の昇給を見合わせる場合であっても、特定技能外国人の昇給を見合わせてはならない」

旨が明記されています。


4. 是正勧告と認定取消しのリスク

要件の概要:指導に従わない場合、認定取消しおよび企業名の公表が行われます。

 巡回指導において不備(賃金未払いや昇給の未実施等)が判明した場合、まずは「是正勧告」が行われます。 これに従わず改善が見られない場合、あるいは悪質な虚偽報告が判明した場合は、以下の処分が下されます。

  1. 受入計画の認定取消し(特定技能外国人の雇用継続不可)

  2. 今後5年間の受入れ禁止(特定技能および技能実習)

  3. 不正認定企業としての公表


まとめ

建設分野の特定技能制度は、許可取得後も以下の適正な運用が求められます。

  1. 受入報告: IDが未発行でも1ヶ月以内に必ず報告する。

  2. 講習受講: 業務扱いとし、給与を支払う。

  3. 昇給対応: 会社の業績に関わらず、計画通りに昇給させる。

これらは一般的な雇用管理とは異なるルールが含まれているため、実務担当者は制度の細部を正確に把握しておく必要があります。

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