社長さん!!あなた逮捕されますよ!!23 ~専門学校卒(専門士)の留学生を採用されるときの注意事項

 今回は、日本の専門学校を卒業し、専門士を取得した留学生を「技術・人文知識・国際業務」で雇用しようとする場合についてのことについて書いていきます。

■ 場面:社長の認識と現状

社長: 「先日面接したベトナム人の彼を採用することにしたよ。 日本の専門学校を卒業していて、日本語も非常に流暢だ。 人柄も良いし、まずは営業事務や現場のサポートから始めてもらおうと思っている。 大学卒も専門学校卒も、高等教育を受けている点では同じだ。 『技術・人文知識・国際業務』のビザ申請さえすれば、問題なく許可が下りるだろう?」


■ 【警告】それは「不許可」直行の判断です

恐れながら申し上げます、社長。 その採用計画のまま申請を行いますと、ほぼ間違いなく「不許可」となります。

社長は「大学卒」と「専門学校卒」を同じ「学校卒業」として捉えていらっしゃいますが、入管法の審査基準においては、この二つは全く別のルールで運用されています。

もし、「とりあえず現場に入れてしまえ」と就労させてしまえば、不法就労助長罪に問われるリスクがありますし、虚偽の業務内容で申請すれば文書偽造の罪にもなり得ます。

なぜ今回のケースが危険なのか、その法的な根拠を詳しく紐解いていきましょう。


■ 詳細解説:なぜ「専門士」は審査が厳しいのか?

就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)を取得するための要件の一つに、「専攻科目と業務内容の関連性」というものがあります。この「関連性」の求められ方が、学歴によって大きく異なります。

1. 大学卒(学士)の場合:関連性は「緩やか」

大学は「広い教養と学術的知識」を授ける場と定義されています。 そのため、学部と職務の関連性は比較的柔軟に解釈されます。

  • 例: 法学部出身者がITエンジニアになる、経済学部出身者がホテルのフロント業務をする。

  • 判定: 「大学で培った基礎能力や応用力がある」とみなされ、許可される可能性が高いです。

2. 専門学校卒(専門士)の場合:関連性は「厳格」

一方で、専門学校は「職業もしくは実際生活に必要な能力を育成する場」と定義されています。つまり、「特定の職業のプロフェッショナル」になるための学校です。 入管は、「学校で習得した専門技術を、そのまま活かせる仕事なのか?」をピンポイントで審査します。

  • 鉄則: 専攻した内容と、従事する業務が完全一致(ベストマッチ)していなければなりません。

■ 具体的なNG事例とOK事例

社長が採用しようとしている彼が、専門学校で何を学んだかによって、明暗が分かれます。

【ケースA:NG事例】(不許可リスク:大)

  • 本人の専攻: ファッションデザイン科、アニメーション科、調理師科、美容科など。

  • 社長が与える業務: 営業、一般事務、貿易事務、飲食店のホール。

  • 審査結果: 「不許可」

    • 理由: 「服のデザインや絵を描く技術を学びに来日したのに、なぜ御社で事務をする必要があるのですか? その業務に、デザインの専門知識は不要ですよね?」と判断されます。

【ケースB:NG事例】(よくある勘違い)

  • 本人の専攻: ホテル・ブライダル科

  • 社長が与える業務: 建設会社の通訳・事務

  • 審査結果: 「不許可」

    • 理由: 「彼は『ホテル接客のプロ』としての教育を受けています。建設用語や建築図面の知識は学校で学んでいません。単に日本語ができるというだけでは、専門性を活かしているとは認められません」

【ケースC:OK事例】

  • 本人の専攻: 自動車整備科

  • 社長が与える業務: 自動車整備士(または整備工場のフロント業務)

  • 審査結果: 「許可」

    • 理由: 学んだ知識と業務が直結しています。


■ 社長が陥りやすい「日本語能力の罠」

社長は「彼は日本語がペラペラだ」とおっしゃいました。 しかし、「日本語能力が高いこと」と「就労ビザの要件を満たすこと」はイコールではありません。

専門学校卒で「通訳・翻訳」としてビザを取るには、原則として「通訳・翻訳学科」「国際ビジネス学科」などで、体系的に語学やビジネス実務を学んでいる必要があります。

アニメ科を卒業した留学生が、いくら日本語が上手でも、それを理由に一般企業の事務職でビザを取ることは極めて困難です。これを強行すると、「単純労働をさせるための偽装申請ではないか?」と入管に疑われる原因になります。


■ 対応策:社長が今すぐ確認すべきこと

採用を確定させる前に、必ず以下のプロセスを踏んでください。これでリスクを回避できます。

  1. 「成績証明書」の提出を求める 卒業証書だけでは不十分です。具体的にどんな科目を履修したかが記載された「成績証明書」を取り寄せてください。

  2. 履修科目と業務内容の「突き合わせ」を行う 成績証明書にある科目名(例:「簿記論」「マーケティング基礎」「C言語プログラミング」など)をリストアップし、自社で担当させる予定の業務と線で結べるか確認します。

    • もし、一つも線が結べない(関連する科目がない)場合、その候補者の採用は見送るべきです。

  3. 採用理由書の準備(申請時) 関連性がある場合でも、申請時には「なぜこの学生でなければならないのか」「彼の学んだ〇〇という科目が、当社の〇〇という業務にどう役立つのか」を論理的に説明する文書(採用理由書)を添付するのが安全です。


社長への提言

専門学校卒の外国人は、即戦力として非常に優秀な人材になり得ます。 しかし、それは「適材適所」であって初めて成立します。

彼のためにも、会社のためにも、まずは彼の「成績証明書」を確認することから始めましょう。 もし、専攻と業務が一致しないのに無理やり雇えば、彼はビザが出ずに帰国を余儀なくされ、会社は当局のブラックリスト入りです。

これだけは、どうか慎重にお願いいたします。

【まとめ】専門卒(専門士)採用で社長が「絶対に」守るべき鉄則

多くの経営者が**「大卒も専門卒も、学校を出ていれば同じだろう」と勘違いし、ビザ不許可の泥沼にハマります。 専門学校卒(専門士)の採用は、大学卒(学士)とは全く異なる「厳しいルール」**が存在することを理解してください。

1. 「専攻」と「業務」の完全一致が大原則

大学卒は「広い教養」とみなされ、学部と業務の関連性は緩やかに判断されますが、専門卒は違います。 **「学校で習った技術を、そのまま使う仕事」**でなければ、ビザは100%許可されません。

  • × NG例: ファッション・アニメ・調理師科 卒 ➡︎ 営業・一般事務・現場作業

  • ○ OK例: 自動車整備科 卒 ➡︎ 自動車整備士

2. 「日本語が上手い」は採用理由にならない

「日本語がペラペラだから、通訳や事務をやらせよう」という安易な考えは通用しません。 翻訳・通訳業務でビザを取るには、原則として「通訳・翻訳学科」「ビジネス学科」などで専門的に学んでいる必要があります。 (※アニメ科卒で日本語N1を持っていても、一般企業の事務職ビザは原則取れません)

3. 採用の可否は「成績証明書」で決まる

面接の印象だけで内定を出さないでください。 必ず「成績証明書」を取り寄せ、履修した科目(カリキュラム)を確認してください。

  • チェックポイント: 「この科目の知識は、ウチの会社のこの業務で使う」と、一本の線で結べるか?

もし結べないのであれば、どれほど優秀な人物でも採用は諦めてください。 無理に申請すれば不許可になり、履歴に傷がつくだけでなく、社長ご自身が**「不法就労助長罪」**のリスクを負うことになります。


経営者の皆様へ 「ビザは後からなんとかなる」という考えは捨ててください。 専門卒の採用は、「入り口(専攻の確認)」で全てが決まります。適法な採用こそが、会社と外国人材双方を守る唯一の道です。

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