社長さん!!あなた逮捕されますよ!!27 ~「妻や子供を呼びたい」と言われたら?~
外国人社員が日本の生活に慣れてくると、本国から家族を呼び寄せたいという相談を受けることが増えます。
そのような家族が滞在できる「家族滞在」という在留資格があります。
経営者として「家族がいたほうが定着率が上がるだろう」と安易に承諾し、不十分な知識で申請を進めるのは非常に危険です。
「家族滞在」の在留資格には、扶養者の職種や経済力、さらには生活実態に関する厳格な法的要件があります。 これらを無視すれば、不許可どころか社員の生活破綻や入管法違反を招く恐れがあります。
1. 「家族滞在」在留資格の法的定義と性質
まず、この在留資格がどのようなものか、正しく理解しておく必要があります。
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定義: 日本で就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)を持って働く外国人が、その「扶養」を受ける家族を受け入れるための資格です。
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活動の制限: このビザの目的は「家族と一緒に暮らすこと」であり、日本で働くことではありません。そのため、原則として就労は一切認められていません。
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依存関係が必須: 単に「親族である」だけでは足りません。あくまで扶養者(社員)の経済力によって養われている「扶養を受ける状態」にあることが、許可の絶対条件です。
2. 「家族滞在」で呼べる範囲の厳格な限定
法律上、「家族滞在」で呼び寄せることが可能なのは、以下の範囲に限定されています。
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対象者: 扶養を受ける「配偶者(妻または夫)」および「子」。
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配偶者の定義: 有効に成立している法律婚に限ります。内縁の妻や婚約者は含まれません。
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子の定義: 実子だけでなく養子も含まれます。また、成人していても「扶養を受けている(学生など)」状態であれば対象になり得ますが、基本的には未成年が想定されています。
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対象外: 社員の「親(父母)」や「兄弟姉妹」は含まれません。
「子供の世話をしてほしい」「病気の親の面倒を見たい」といった理由があっても、親をこのビザで呼ぶことは法的に不可能です。
これを伝えず安易に期待させると、後に関係が悪化する原因となります。
3. 在留資格による制限(特定技能1号のケース)
もし貴社の外国人社員が「特定技能1号」で在留している場合、その方は原則として家族を呼び寄せ、帯同させることはできません。
「家族滞在」が認められているのは、主に専門的・技術的分野の在留資格(ホワイトカラー職種)や、技能実習から特定技能を経てステップアップした「特定技能2号」などに限られています。
相談を受けた際は、まず本人の在留資格の種類を確認してください。1号のままでは、どれほど経済力があっても家族呼称は不可能です。
4. 「扶養能力」と「同居」の要件
入管は、家族を呼び寄せる社員に対し、家族全員を養うだけの十分な経済力と、適正な生活実態があるかを厳しく審査します。
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扶養能力(経済力): 本人の給与額が主な判断材料となります。「奥さんが来日後に働けば大丈夫」という主張は審査では考慮されません。あくまで「扶養者(社員)の現在の確定した収入」だけで家族全員が健康で文化的な生活を送れるかが判断されます。
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同居の要件: 「家族滞在」は、原則として扶養者と「同居」していることが要件です。不自然な別居状態は、「扶養の実態がない(ビザ目的の偽装婚ではないか)」という疑念を生み、不許可の直結要因となります。
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住居の確保: 家族数に応じた適正な広さの住居が必要です。単身用物件での多人数居住は、賃貸借契約違反のみならず、入管から生活実態を否定される材料となります。
5. 資格外活動制限と不法就労のリスク
前述の通り、家族滞在ビザは原則就労不可ですが、別途「資格外活動許可」を申請することでアルバイトが可能になります。
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労働時間の制限: 許可を得ても、「週28時間以内」という厳格な制限があります。
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経営者のリスク: もし人手不足を理由に、社長が呼び寄せた家族を自社でフルタイムで働かせた場合、社長自身が不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)の対象となります。
【まとめ】外国人家族の呼び寄せにおける実務チェックリスト
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本人の在留資格は「家族呼称」が可能か?
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特定技能1号は原則不可。2号への変更や他資格への変更が必要。
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呼ぼうとしているのは誰か?
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配偶者と子供以外(親・兄弟)は呼べないことを事前に説明する。
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社員の給与額(手取り)で家族を養えるか?
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住民税や社会保険料を支払った上で、家族が日本で自立して生活できる水準か。
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家族全員が同居できる適正な住居を確保しているか?
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居住スペースの不足や別居は、許可を遠ざける大きな要因となる。
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就労制限を周知しているか?
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家族は「週28時間」以上働けない。これを破ると、社員本人の次回の更新も不許可になるリスクがある。
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最近の政治や世論の流れを見ていると、外国人本人の管理だけでなく、その「扶養家族の状況」や「公的義務の履行(税・社保)」についても入管の視線は非常に厳しくなっています。永住権の取り消し要件が議論される現代において、「今までは大丈夫だった」という甘い認識は通用しません。
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