社長さん!あなた逮捕されますよ!! 3 ~在留資格について~

社長さん!!あなた逮捕されますよ!!/はぶ行政書士事務所の羽生です。

「働ける外国人が見つかった、すぐ採用しよう」——その前に、一度だけ確認してください。
その人は、あなたの会社で「その仕事」をしていい在留資格を、本当に持っていますか。
確認せずに働かせれば、不法就労助長罪で逮捕されるのは、雇った社長であるあなたです。

【この記事の重要ポイント】

「ビザさえあれば、どんな仕事をさせてもいい」——それは違います

社長さんがやりがちな勘違いの第一が、これです。「就労ビザを1枚取れば、あとはうちの都合でどんな仕事をさせてもいい」。そもそも、正しくは「ビザ」ではなく「在留資格」です。言葉の段階から、すでにズレています。

在留資格は「働いていい許可」ではありません。「この内容の仕事をしていい」という許可です。在留資格は全部で29種類あり、その外国人が日本で何の仕事をするかによって、どれに当てはまるかが決まります。だから、たとえ就労できる在留資格を持っている人でも、その資格に合わない仕事をさせた瞬間に「不法就労」になります。そして処罰されるのは本人だけではありません。働かせた社長が不法就労助長罪に問われます。「そんな細かいことは知らなかった」は、通用しません。

正しい順番はこうです。まず頭の中の言葉を入れ替えてください。「就労ビザを取る」ではなく、「させたい仕事に合う在留資格を取る」。何をさせるかが先、在留資格はその後です。

▷関連記事:不法就労助長罪について詳しくは Vol.11Vol.12 をご覧ください。

「事務も現場も、両方やってもらいたい」——在留資格は1人に1つだけです

「人手が足りないから、1人に事務も現場作業も兼務させたい」「資格を2つ取らせればいいだろう」——これもよくある勘違いです。

在留資格は、1人につき1つだけ。複数を同時に持つことはできません。事務系のホワイトカラー業務なら「技術・人文知識・国際業務」、現場の単純作業なら「特定技能」や「育成就労」と、そもそも管轄する在留資格が分かれています。事務職として技人国で採った人に、人手不足を理由に現場作業も兼務させれば、その現場作業の部分が資格外の活動、つまり不法就労になります。本人が「やります」と言っても関係ありません。働かせた社長の責任です。

正しい順番はこうです。まず「この人に主として何をさせるか」を1つに決める。その主たる業務に合う在留資格を1つ選ぶ。どうしても複数の業務をさせたいなら、力技で兼務させるのではなく、在留資格の設計段階から相談してください。

▷関連記事:社長さん!!あなた逮捕されますよ!! 2 ~外国人人材は安い労働力ではない~

「仕事が変わったけど、在留資格はそのままでいいよね?」——確認しないと危険です

「採用したときに在留資格を取ったんだから、あとで仕事が変わっても手続きはいらないだろう」。この油断が、いちばん事故につながります。

よくあるパターンを挙げます。入社時はきちんと技人国に合う事務職だった。ところが現場が回らず、いつの間にかその人が製造ラインや配送の主戦力として入っていた——こういう会社は、珍しくありません。本人も社長も悪気はない。日々の現場を回しているだけのつもりです。ところが在留期間の更新申請のとき、実際の業務内容が在留資格の範囲を超えていることが入管に把握され、更新が不許可になる。場合によっては、過去にさかのぼって不法就労助長と評価されることもあります。「現場を手伝ってもらっていただけ」が、後から牙をむきます。

正しい順番はこうです。業務内容を変えるときは、その都度「今の在留資格の範囲に収まっているか」を確認する。範囲を超えるなら、変えてから慌てるのではなく、変える前に在留資格の変更申請を検討してください。

「採用が決まってから在留資格を考える」——順番が逆です

「いい人材が見つかった。まず採用して、在留資格は後で何とかしよう」。気持ちはわかります。でも、これは順番が逆です。

「どんな仕事をさせるか」が曖昧なまま在留資格を申請しても、許可は下りません。採用を先に決めてから業務内容を固めようとすると、最初に想定していた在留資格と合わず、申請をやり直すことになります。内定を出したのに、手続きが振り出しに戻る。これは本人にとっても会社にとっても、つらい事態です。

正しい順番はこうです。①その人にどんな仕事をさせるかを具体的に決める。②その仕事に合う在留資格を確認する(このとき、在留カードで現在の在留資格・期限・就労制限の有無も必ずチェックする)。③そのうえで申請する。この順番を守るだけで、事故はぐっと減ります。

▷関連記事:社長さん!逮捕されますよ!4 ~在留カードについて~

【この記事のまとめ】

  • 正しくは「ビザ」ではなく「在留資格」。在留資格は“働く許可”ではなく“その仕事をしていい許可”であり、範囲外の業務をさせれば社長が不法就労助長罪に問われる
  • 在留資格は1人に1つ。事務と現場を兼務させることはできず、業務が変わったら変更申請の要否を必ず確認する
  • 採用が先で在留資格は後、ではない。「何をさせるか」を固めてから在留資格を確認・申請するのが正しい順番

 

 

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