社長さん!!あなた逮捕されますよ!!/はぶ行政書士事務所の羽生です。

「あの子、もう5年になるんですが、このままだと帰国させないといけないんですよね……」

手塩にかけて育てた現場のキーマンが、在留期限を理由に離れていく——これは今、多くの経営者が直面している現実です。

「特定技能2号」という制度があります。ただし、「知っているだけ」では使えません。ハードルは想像より高く、企業側の覚悟も問われます。

【この記事の重要ポイント】

  • ほぼ全業種で「2号」への道が開かれている——対象分野の確認
  • 「誰でもなれる」わけではない——試験・実務経験・経済要件の厳しさ
  • 「リーダーとして育てていない」と2号にはなれない——会社側の責任
  • 経営判断としてどう向き合うか——残すか、送り出すかの分岐点

ほぼ全業種で「2号」への道が開かれている——対象分野の確認

特定技能制度には、通算5年で帰国しなければならない「1号」と、更新上限のない「2号」があります。

2023年の閣議決定により、この「2号」の対象分野が大幅に拡大されました。現在は以下の11分野で2号(=長期雇用)を目指すことが可能です。

分野 備考
建設/造船・舶用工業 当初からの対象分野
工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子) 2023年に拡大
飲食料品製造業/外食業 2023年に拡大
農業/漁業 2023年に拡大
宿泊/航空/自動車整備/ビルクリーニング 2023年に拡大

なお、介護分野は「在留資格・介護」という別ルートが設けられているため、特定技能2号の対象外です。

これは経営判断として非常に重要な変化です。手塩にかけて育てた熟練スタッフが「将来も日本で働き続けたい」と願った場合、2号への道を用意できる企業か否かが、定着を左右する決定的な要因になるからです。

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「誰でもなれる」わけではない——試験・実務経験・経済要件の厳しさ

「2号にすればいいだけでしょ?」と軽く考えている社長さんに、まず現実を知っていただく必要があります。ハードルは想像をはるかに超えています。

① 高い技能水準と実務経験:1号よりも遥かに難しい技能試験の合格に加え、多くの分野で「監督者(リーダー)としての実務経験」が必須です。例えば外食業なら副店長クラスとして複数のスタッフを指導・監督した2年以上の経験が求められます。製造業でも現場リーダーとしての数年間の実績が前提です。

② 厳格な経済要件:家族を養うだけの十分な年収があるか、入管が厳しく審査します。日本で納税し、公的支援に頼らず自立して生活できる水準でなければ許可されません。

つまり、2号になれるのは「高い技能を持ち、経済的にも自立した人材」に限られます。現場で頑張っているからといって、自動的に2号になれるわけではありません。

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「リーダーとして育てていない」と2号にはなれない——会社側の責任

ここが最も重要な点です。2号の要件を満たせるかどうかは、会社がその人をどう育ててきたかにかかっています。

単なる作業員として扱い続けた社員は、いくら本人が優秀でも「監督者としての実務経験」を証明できません。建設なら現場で複数の技能者を指揮した班長経験、製造なら工程管理の実績——これらは会社が意図的に役職と機会を与えなければ積み上がらないものです。

「5年目を迎えてから慌てて2号を考える」では遅いのです。採用時点から「この人を幹部に育てる」というキャリアプランを描き、早期にリーダー職を経験させる——この計画性が、2号への道を現実のものにします。

また、もし2号移行をサポートするのであれば、会社の覚悟も必要です。彼らが家族と共に日本に定住する場合、単身用寮では対応できません。住居の確保、生活ルールの指導、地域社会との橋渡し——「長く働いてほしい」という気持ちだけでは済まない、実務的な責任が増します。

経営判断としてどう向き合うか——残すか、送り出すかの分岐点

では、社長としてどう判断すべきか。答えはシンプルです。

その外国人が代わりの利かない現場のキーマンであり、本人が強く日本での定住を望んでいるなら、高いハードルを越えてでも2号への道をサポートする価値があります。彼らはもはや「出稼ぎ労働者」ではなく、「会社と運命を共にする幹部社員」となるからです。永住への道も開かれ、御社の長期的な人材基盤になります。

一方で、住居整備や地域対応まで含めた体制が整えられないのであれば、無理に2号を目指すべきではありません。「感謝して送り出す」という選択も、立派な経営判断です。

判断の分岐点は「会社としての準備ができているか」です。制度のメリットだけを見て飛びつくのではなく、社会的責任と企業負担まで含めて冷静に考える——それが、外国人材とともに長く歩んでいける経営者の姿勢だと思います。


【まとめ】Vol.44 特定技能2号と経営者の覚悟

  • 特定技能2号はほぼ全業種で道が開かれているが、ハードルは高い。試験合格+監督者としての実務経験が必須。
  • 「2号にできるかどうか」は会社の育て方次第。採用時点からリーダー育成を設計していなければ、5年目に詰む。
  • 残すか送り出すかは経営判断。住居・地域対応まで含めた体制が整っているかどうかが分岐点になる。

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