社長さん!!あなた逮捕されますよ!!37 ~特定技能の手続きが複雑すぎる理由|企業に義務付けられた「生活支援」と「四半期報告」の正体~

社長さん!!あなた逮捕されますよ!!
はぶ行政書士事務所の羽生です。

「特定技能は『即戦力』って聞いたぞ。採用したら、あとは現場に放り込めばいいんだろ?」
——その発想のまま契約書にハンコを押した瞬間、地獄が始まります。
特定技能1号には、他の就労ビザには存在しない「支援義務」という巨大な足枷があります。これをナメると、受入れ資格そのものを失い、向こう5年間は外国人を一人も雇えなくなります。

「採用したら終わり」じゃない――会社は「日本での親」になる

まず押さえていただきたいのは、特定技能1号を受け入れるには「1号特定技能外国人支援計画書」の作成と実行が法律で義務付けられている、ということです。

一言で言えば、「仕事以外の生活全般を、会社が親代わりになって面倒を見なさい」ということ。これは福利厚生ではありません。やらなければビザが下りないし、すでに下りていれば取り消される、れっきとした法的義務です。

具体的には、こういったサポートが必須になります。

  • 入国前のガイダンス(日本での生活ルール、法令遵守事項などの事前説明)
  • 出入国時の送迎(空港まで迎えに行き、帰国時は保安検査場まで見送る)
  • 住居の確保(社宅・アパートの契約サポート、連帯保証人になるなど)
  • 公的手続きの同行(住民登録、銀行口座開設、携帯電話契約など)
  • 日本語学習の機会提供(日本語教室の案内、教材の情報提供など)
  • 定期的な面談(3か月に1回、本人と監督者それぞれと面談して記録を残す)

「そんなの本人が自分でやればいい」と思うかもしれません。でも、それが通らないのが特定技能です。これを怠れば支援計画の不履行となり、受入れ機関としての適合性を失います。

「仕事が忙しくて報告忘れてました」は通用しない

無事に許可が下りて現場に入った後も、手続きは終わりません。特定技能には、入管に対する定期届出という報告義務があります。ここが、以前と大きく変わったところです。

2025年4月の制度改正で、定期届出は年4回(四半期ごと)から年1回に変更されました。提出期間は毎年4月1日〜5月31日の2か月間。「回数が減ってラクになった」と感じるかもしれませんが、実態は逆です。1年分の記録をまとめて出す必要があるため、日頃から賃金台帳・出勤簿・面談記録・支援実施記録をきちんと整備していないと、提出期限直前に地獄を見ます。

さらに2025年4月からは、以下の届出ルールも変わっています。

  • 支援実施困難届出が新設・義務化(支援が実施できない事情が生じたら14日以内に届出)
  • 自己都合退職の申し出時点での「受入困難届出」は不要に(ただし退職確定後の「雇用契約終了の届出」は必要)
  • 登録支援機関の再委託は全面禁止(委託先がさらに別の業者に流すのはアウト)

報告を怠ったり虚偽の報告をしたりすれば、受入れ機関としての認定が取り消され、今後5年間外国人を雇えなくなる可能性があります。「仕事が忙しくて忘れていた」では済まされません。

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「自社でやる」か「プロに任せる」か――どっちが正解?

ここまで読んで「通常業務をやりながら、こんなこと無理だろ」と思った社長、正しい感覚です。そのために存在するのが登録支援機関です。膨大な支援業務や届出関連の書類作成を、外部のプロに委託できる仕組みになっています。

選択肢は大きく2つです。自社支援はコストが浮く一方、書類作成と面談記録の管理で担当者が疲弊し、人事担当が辞めるたびにノウハウが失われるリスクがあります。登録支援機関への委託は月々の費用(一人あたり2〜3万円が相場)はかかりますが、支援業務の実務負担は大きく減ります。

多くの中小企業は委託を選びますが、ここでも注意点があります。2025年4月からは、登録支援機関が受けた業務をさらに別の業者に再委託することが全面的に禁止されました。「安く受けて下請けに丸投げ」するタイプの業者は、この時点で制度から排除されます。委託先を選ぶときは、自社で実際に支援を行える体制があるかを必ず確認してください。

「業者に任せたから安心」は最大の落とし穴

そして、社長が一番誤解しやすいのがここです。登録支援機関に委託しても、受入れ機関としての責任は会社に残ります。支援機関がサボっても、虚偽の報告をしても、行政処分を受けるのは受入れ企業である御社です。

よくあるトラブルはこういったものです。支援機関が面談を形式だけで済ませ、実は本人と一度も会っていなかった。委託料だけ取って、支援実施記録が白紙だった。賃金や労働時間の問題を本人が相談したのに、支援機関が握りつぶしていた。

こうなると、入管の調査で一発アウトです。「委託していたので知りませんでした」は通用しません。社長自身が、支援機関の仕事ぶりを定期的にチェックする必要があります。

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  • 特定技能1号は「支援義務」がセット。会社は日本での親代わりになる覚悟が必要。
  • 定期届出は年1回(4月1日〜5月31日)に変更。支援実施困難届出の新設・再委託禁止も含め、2025年4月から制度が大きく変わっている。
  • 登録支援機関に委託しても責任は会社に残る。委託先の仕事ぶりを社長自身が確認する習慣を持つこと。

【もし不許可になっても、諦める前に「再構成」を】
ビザが下りない理由の多くは、書類の「説明不足」や「矛盾」にあります。不許可通知から「入管の本音」を読み解き、ロジックを組み直せば、再申請での許可は十分に可能です。

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