社長さん!!あなた逮捕されますよ!!~56~ 安易なコストカットの罠。健康診断・社会保険の「未実施」が招く、受入れ資格の剥奪。
社長さん!!あなた逮捕されますよ!!
はぶ行政書士事務所の羽生です。
「忙しくて健康診断に行かせる時間がない」「社会保険料の負担が重いから、しばらくは様子を見たい」
——その「都合」が、会社の外国人雇用ラインを全滅させます。
削ろうとした数万円のコストが、5年間の受け入れ停止を招きます。
Contents
「健康診断」は努力義務ではなく法的義務である
特定技能外国人の受け入れに際し、1年以内ごとに1回の定期健康診断を実施することは、制度上の厳格な義務です。労働安全衛生法に基づくと同時に、特定技能の運用要領でも明文化されています。
受け入れ時だけでなく、継続的な実施と結果の管理が求められます。また診断費用は事業主が負担すべきもので、外国人に自己負担させると実質的な賃金控除とみなされるリスクがあります。
入管への定期報告では、健康診断の実施状況を証明する書類の提出が求められます。「受診させていない」という事実は、即座に書類上で露呈します。
社会保険の「未加入」は即座に欠格事由となる
社会保険(健康保険・厚生年金)および労働保険への加入は、特定技能外国人を雇うための「前提条件」です。「試用期間中だから」「本人が手取りを増やしたいと言っているから」という言い訳は、一切通用しません。
社会保険は強制加入であり、本人の同意の有無に関わらず、要件を満たす労働者は加入させなければなりません。これを怠ることは「不当な利益供受」とみなされます。また社会保険料の滞納や未加入は、入管法だけでなく厚生年金保険法等の違反にも該当します。
入管は日本年金機構等からの情報提供に基づき、法人の納付状況を厳格に照会します。未加入や滞納が発覚した時点で、貴社は受け入れ機関としての資格を失います。
「5年間の受入れ停止」という、あまりに重いコストカットの代償
健康診断の未実施や社会保険の未加入が発覚し、指導や是正勧告に従わない場合、貴社は「出入国又は労働に関する法令に関し不正又は著しく不当な行為」を行ったとみなされます。欠格事由に該当すれば、処分から5年間、一切の特定技能外国人を受け入れることができなくなります。
現在雇用している特定技能外国人の在留更新も認められず、帰国や転籍を余儀なくされます。数人の保険料や診断代を惜しんだ結果、事業継続そのものが困難になる。これが「安易なコストカット」の帰結です。
▷ 関連記事:Vol.55 日本人との賃金格差が招く、受入れ資格の剥奪。
▷ 関連記事:Vol.59 監査と立ち入り調査への備え。現場の「逃げ隠れ」が招く、即時の受入れ停止。
「コスト削減」の前に、社長が自分に問うべきこと
正直に聞きます。すべての特定技能外国人に1年以内ごとに健康診断を受けさせていますか。雇用開始日から遅滞なく社会保険に加入させていますか。保険料の滞納はありませんか。
健診や社保は、外国人を「使い捨ての人員」ではなく「一人の人間」として雇用するための最低限の義務です。法令遵守こそが、外国人雇用を続けるための唯一の経営基盤です。
【まとめ】コストカットで社長が覚えておくべきこと
- 健康診断は法的義務。未実施は定期報告で即バレする
- 社会保険の未加入・滞納は入管と年金機構の両方からチェックされる
- 数万円を惜しんだ結果、5年間の受け入れ停止で事業継続が困難になる
【もし不許可になっても、諦める前に「再構成」を】
ビザが下りない理由の多くは、書類の「説明不足」や「矛盾」にあります。不許可通知から「入管の本音」を読み解き、ロジックを組み直せば、再申請での許可は十分に可能です。
世田谷で10年、数々の難案件を扱ってきた羽生が、現在の状況を整理し、次の一手をアドバイスします。
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