永住許可ガイドライン改定(2026年10月)|世帯年収・年金・日本語B1などの審査項目と、在留期間「3年」の扱い

令和8年10月1日、永住許可に関するガイドラインが改定されました。

改定後の内容は原則として令和9年4月1日以降の申請から適用されます。ただし、収入と「公共の負担」に関する部分は、すでに申請して審査を待っている方にも適用されます。

今回はガイドラインのご紹介と、一部を抜粋して簡単に解説を加えます。

この記事のポイント

  • 永住許可に関するガイドラインは2026年(令和8年)10月1日に改定され、原則として2027年(令和9年)4月1日以降の申請から適用されます。
  • 収入と「公共の負担」の基準は、2026年4月1日以降に申請し、10月1日時点で審査中の案件にも適用されます。
  • 収入は、世帯年収を世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入と比べて判断します。具体的な金額はガイドラインに書かれていません。
  • 年金の将来の受給見込額、日本語能力(B1相当以上)、日本の制度・ルールの理解、学齢期の子の就学が、考慮要素として挙げられています。
  • 在留期間「3年」は、2027年4月1日以降の申請では、条件を満たす場合に限り「最長の在留期間」とみなされます。

改定後の永住許可ガイドラインはいつから適用されるか

まず、いつの申請から新しい基準で見られるかです。

対象 適用される申請
ガイドライン全体 令和9年4月1日以降の申請
収入(第2の4(2))
公共の負担とならないこと(第2の5(7))
令和8年4月1日以降の申請で、令和8年10月1日時点で審査中のものにも適用

収入と公共の負担の部分は、令和8年4月1日以降に申請したものから適用されます。帰化の運用改正もそうでしたが、すでに申請したものにも適用するというのは、乱暴な気がします。

ただ、永住は今回のガイドラインが発表される前から、過去のガイドラインに記載されている内容より厳しく審査されていました。新しいガイドラインが発表されたことで、許可になるかどうかの目安が付きやすくなったのは、いいことかもしれませんね。これは皮肉です。

永住申請と在留期間「3年」|令和9年4月以降は「最長の在留期間」とみなされない場合があります

永住許可の考慮要素の一つに「現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留しているか」があります。在留期間「3年」をお持ちの方は、申請の時期によって扱いが変わります。

令和9年3月31日までに申請する場合

在留期間「3年」でも、「最長の在留期間で在留している」とみなされます。

令和9年4月1日以降に申請する場合

次の3つをすべて満たすときに限り、「3年」でも最長の在留期間とみなされます。

  1. 令和9年3月31日の時点で、在留期間「3年」を持っていること
  2. 令和9年4月1日以降に行う、はじめての永住許可申請であること
  3. その「3年」の在留期限が来るまでに、永住申請の結果が出ること

どれか一つでも欠ける場合(たとえば、審査中に「3年」の期限が来た場合や、2回目以降の申請の場合)は、「3年」では最長の在留期間として扱われません。

永住許可の3つの要件

永住許可には、次の3つの要件が必要とされています。

  • 素行が善良であること(素行善良要件)
  • 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
  • その者の永住が日本国の利益に合すること(国益要件)

日本人・永住者・特別永住者の配偶者又は子は、素行善良要件と独立生計要件を満たす必要はありません。ただし、国益要件は必要です。

また、入管法第22条第2項には、令和9年4月1日施行の改正で「この法律に規定する義務の遵守、公租公課の支払等」という文言が加わります。ガイドラインは、これは従来から審査で考慮されていた内容を法律上明確にしたものだと説明しています。

永住の収入要件はいくらか|「世帯年収」を日本人世帯の平均と比べる

今回の改定では、収入について次のように書かれています。

原則として、申請時点で、申請者の属する世帯年収の額が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準(以下「年収水準」といいます。)の額に継続して達しているかを考慮要素とします。

世帯の数え方は次のとおりです。

  • 世帯とは、住居と家計を共にしている人の集まりです。申請者と同一生計の家族の年収を合算します。
  • 成人しているなど、父母の扶養から外れている人は、父母の収入を算入せずに判断します。
  • 「家族滞在」など就労を目的としない在留資格の家族の収入は、資格外活動許可を受けて得たものであっても合算しません。
  • 申請者が扶養している親族は、外国に住んでいて同居していなくても世帯人数に加えます。
  • 世帯人数が5人以上の場合は、生活費等の増加分を加算した水準で判断します。

ここでいう「就労を目的とした在留資格」からは、技能実習、育成就労、特定技能1号、企業内転勤、一部の特定活動が除かれています。

では、具体的にいくらなのか。ガイドラインには金額が書かれていないため、分かりません。

おそらく、次の統計を参考にすればよいのではないかと思います。

  • 厚生労働省「国民生活基礎調査」:統計表「平均所得金額-平均有業人員,世帯人員別」で、1人世帯から6人以上世帯まで、世帯人員別の1世帯当たり平均所得金額が分かります
  • 国税庁「民間給与実態統計調査」:給与所得者の平均給与や分布(個人の基準の参考に)

永住審査の年金|将来の受給見込額まで見られる

年金については、加入しているかどうかだけでなく、将来受け取れる見込額が考慮されます。

  • 申請時の年齢、これまでの加入状況(自営業か会社員か、加入期間、その期間の平均年収など)、申請時の年収から、将来の受給見込額を推計します。
  • その見込額が、「日本人世帯の平均収入を上回る年収水準で30年間働き、厚生年金に加入していた場合の見込額」に達しているかを見ます。
  • 達していない場合でも、不足分を補える金融資産があれば、達しているものと評価されます。この資産の基準は年齢に応じたもので、若い申請者ほど低くなります。
  • 配偶者がいる場合は、夫婦の見込額を合算して判断します。

国益要件として見られる項目(公租公課・出国日数・日本語B1など)

国益要件については、単に国益に反しないというだけでなく、積極的かつ具体的に日本に利益をもたらす必要があるとされています。考慮要素として挙げられているのは次の項目です。

項目 ガイドラインの記載
入管法上の義務 住居地の届出、在留カードの携帯・提示、在留資格外の活動をしない・させない義務など。過去の違反が判明した場合も原則として消極評価
公租公課 税金のほか、公的医療保険・公的年金を含む。申請時に未納がなくても、過去に滞納処分を受けたなどの場合は原則として消極評価。世帯単位で審査
刑罰法令違反 拘禁刑・罰金刑を受けた者、少年法による保護処分を受けている者は原則として消極評価
上陸拒否事由・上陸許可基準 現在の在留資格の上陸許可基準等に適合していない場合も消極評価
在留期間 原則10年以上、うち就労資格又は居住資格で5年以上。最長の在留期間を持っていること。過去10年以内に、合理的な理由なく1回で半年以上、又は通算2年6月以上不在の場合は原則として消極評価
公共の負担とならないこと 配偶者・子などで独立生計要件が不要な方でも、世帯が現に公共の負担となっている場合などは消極評価をすることがある
日本語能力 「日本語教育の参照枠」のB1相当以上。高度人材とその家族、日本の小中学校等で通算6年以上教育を受けた方などは考慮要素としない
日本の制度・ルールの理解 「生活・就労ガイドブック」の記載事項を中心に、出入国在留管理庁長官が指定する方法で理解を確認
学齢期の子の就学 義務教育期間の子がいる場合、その子が小学校又は中学校に通っていること
その他 令和8年1月23日決定の「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」の施策(特定在留カード等の普及促進など)への貢献も考慮要素となる

原則10年在留の特例(配偶者・定住者・高度人材など)

原則10年の在留期間には、次のような特例があります。

対象 在留期間
日本人・永住者・特別永住者の配偶者 実体のある婚姻生活が5年以上継続し、引き続き3年以上在留
上記の実子等 引き続き3年以上在留
「定住者」 5年以上継続して在留
難民・補完的保護対象者 認定後5年以上継続して在留
高度人材ポイント70点以上 3年以上継続
高度人材ポイント80点以上・特別高度人材 1年以上継続
我が国への貢献があると認められる者 5年以上在留

このほか、特区や地域再生計画の区域での活動による特例もあります。在留特別許可・上陸特別許可を受けた方(上陸拒否事由該当者に限る)には、これらの特例は適用されません。

今回の改定に伴い、従来の「我が国への貢献」に関するガイドラインは廃止され、その内容はこのガイドラインに組み込まれました。

「特定活動」の期間は10年に数えられるか

「特定活動」で在留していた期間が10年に算入されるか、就労資格に当たるかは、指定された活動の内容によって決まります。

  • 10年に算入されない例:継続就職活動、就職内定者、大学等を卒業して起業活動を行う留学生、難民認定等手続中など
  • 就労資格に当たる例:告示46号(本邦大学等卒業者)、告示36号・37号、EPA看護師・介護福祉士(候補者期間は除く)など
  • 就労資格に当たらない例:ワーキングホリデー、インターンシップ、日本の高校卒業後に就職した方など

申請前に確認しておくこと

ガイドラインに書かれている考慮要素のうち、過去の状況が問われるものは、申請の直前に整えることができません。

  • 税金・健康保険・年金に、過去も含めて未納や滞納がないか
  • 住居地の届出など、入管法上の届出をしてきたか
  • 過去10年の出国期間(1回で半年以上、通算2年6月以上)
  • 世帯の収入に、算入されない家族の収入が含まれていないか

令和8年4月以降に申請して審査中の方は、収入の部分がすでに改定後の基準で見られます。

外国人社員の永住申請に会社として関わる場合も、在職中の社会保険の加入状況や、在留資格で認められた範囲の業務に就いていたかは、本人の審査に影響します。

よくある質問

Q. 改定後の永住許可ガイドラインは、いつの申請から適用されますか。

A. 原則として2027年(令和9年)4月1日以降の申請から適用されます。ただし、収入と「公共の負担」の部分は、2026年(令和8年)4月1日以降に申請し、2026年10月1日時点で審査中の案件にも適用されます。

Q. 永住許可の年収の基準はいくらですか。

A. ガイドラインに具体的な金額は書かれていません。世帯年収が、世帯人数に応じた日本人世帯の平均収入を上回る水準に、継続して達しているかで判断されます。

Q. 「家族滞在」の配偶者がアルバイトで得た収入は、世帯年収に含まれますか。

A. 含まれません。資格外活動許可を受けて得た収入であっても、就労を目的としない在留資格の家族の収入は合算しないとされています。

Q. 在留期間「3年」でも永住申請できますか。

A. 2027年3月31日までの申請であれば、「3年」でも最長の在留期間として扱われます。2027年4月1日以降の申請では、3つの条件をすべて満たす場合に限り、最長の在留期間として扱われます。

Q. 永住申請に必要な日本語能力はどのくらいですか。

A. 「日本語教育の参照枠」のB1相当以上です。高度人材とその家族、日本の小中学校等で通算6年以上教育を受けた方などは、考慮要素とされません。

Q. 出国していた期間は審査に影響しますか。

A. 過去10年以内に、合理的な理由なく1回の出国で半年以上、又は通算2年6月以上日本を離れていた場合は、原則として消極評価となります。

Q. 今は払っていても、過去に税金や年金の未納があった場合はどうなりますか。

A. 申請時点で未納がなくても、過去に滞納処分を受けたことがあるなど、適切に支払っていない状況が認められる場合は、原則として消極評価となります。

総評(個人の感想)

正直いって、かなり厳しいですね。

これは私の感想ですが、今後永住は、次のような方でないと許可を出さないということかなと解釈しました。

  • 日本人と同等、願わくは日本人以上に稼いでいる
  • 税金・年金・保険などを確実に支払ってきて、これからも支払い続けることが見込まれる
  • 過去に素行不良がなく、これからも問題を起こさないであろう
  • すでに日本の国益に寄与している実績をあげている

今回はガイドラインのご紹介と、一部を抜粋して簡単に解説を加えてみました。今後も取り上げます。

参考リンク

  1. 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年10月1日改定)」
  2. 厚生労働省「国民生活基礎調査」(政府統計の総合窓口 e-Stat)
    見るべき箇所:統計表「平均所得金額-平均有業人員,世帯人員別」(世帯人員別の1世帯当たり平均所得金額)
  3. 国税庁「民間給与実態統計調査」
    見るべき箇所:給与所得者の平均給与や分布(個人の基準の参考に)

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