社長さん!!あなた逮捕されますよ!!27 ~「妻や子供を呼びたい」と言われたら?~
社長さん!!あなた逮捕されますよ!!/はぶ行政書士事務所の羽生です。
「定着率が上がるなら、家族を呼んでやろう」——その一言が、思わぬ落とし穴になることがあります。
外国人社員から家族の呼び寄せ相談を受けた社長が、うっかり「うちで働いてもらえばいい」と口にした瞬間、不法就労助長罪の入口に立ってしまうこともあるのです。
「家族滞在」ビザには、資格・収入・就労制限など、経営者が必ず知っておくべき厳格なルールがあります。知らないでは済まされません。
Contents
【この記事の重要ポイント】
「家族滞在」で呼べる家族の範囲は、思ったより狭い
「家族滞在」という在留資格は、就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)で働く外国人が、扶養を受ける家族を呼び寄せるためのものです。
ここで社長がよく誤解しているのが、「呼べる家族の範囲」です。法律上、対象になるのは配偶者(法律婚のみ)と子(実子・養子を含む)だけです。
内縁の妻、婚約者、「子供の面倒を見てほしい」という理由での親(父母)、兄弟姉妹——これらはすべて対象外です。「親を呼んで子守りをしてほしい」という話は、入管法上、まったく通りません。
社員から「親を呼びたい」と相談されても、安易に「何とかなるんじゃないの」と言わないでください。後で社員との関係が壊れる原因になります。
▷ 関連記事:Vol.28 永住への道
特定技能1号の社員は、原則として家族を呼べない
ここは特に注意が必要です。貴社の外国人社員が「特定技能1号」で在留している場合、その社員は原則として家族を「家族滞在」ビザで呼び寄せることが法律上、できません。
特定技能1号は制度設計上、「定住を前提としない」就労資格です。在留期間は通算最大5年。そのため、家族帯同を認める「家族滞在」の対象外とされています。
例外的に認められるケースもありますが(在留資格変更前から家族がすでに日本に在留していた場合など)、それは「特定活動」という別の在留資格であり、本国から新たに呼び寄せることとは異なります。
「なんとかなるでしょ」という認識で社員に期待を持たせると、後で大きなトラブルになります。まず在留資格の種類を確認することが先決です。
▷ 関連記事:Vol.44 5年で帰国か、幹部として残すか。「特定技能2号」の高いハードルと経営判断
「扶養能力」と「同居」が審査の核心——甘く見ると不許可直結
「家族滞在」の許可審査で入管が最も厳しく見るのが、扶養能力と同居の実態です。
扶養能力については、「社員本人の現在の収入だけで家族全員を養えるか」が判断基準です。「来日後に奥さんが働けばいい」という話は審査で一切考慮されません。あくまで現時点の確定した収入だけが判断材料になります。
同居については、原則として扶養者(社員)と同居していることが要件です。不自然な別居状態は「扶養の実態がない」「偽装婚ではないか」という疑念を招き、不許可の直接原因になります。
また、住居の広さも見られます。単身用物件に家族全員が住んでいるような状況は、賃貸契約違反になるだけでなく、入管から「生活実態がない」と判断される材料にもなります。社員が家族を呼ぶ前に、適正な住居を確保していることを確認してください。
家族をうちで働かせたら、社長が逮捕される
「人手不足だし、来日した奥さんにも手伝ってもらおう」——この発想が最も危険です。
「家族滞在」ビザは、原則として就労できません。就労するには別途「資格外活動許可」を取得する必要があり、許可を得た場合でも週28時間以内という厳格な上限があります。
もし社長が、資格外活動許可なしで家族滞在ビザの人を働かせたり、許可はあるのにフルタイムで働かせたりした場合、不法就労助長罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)の対象となります。「知らなかった」「本人が希望した」は免罪符になりません。
さらに、家族が就労制限を超えて働いた事実が発覚すると、社員本人の次回の在留期間更新が不許可になるリスクもあります。採用時だけでなく、日常の管理においても、家族の就労状況は社長が気を配るべき問題です。
【Vol.27 まとめ】
- 「家族滞在」で呼べるのは配偶者と子のみ。親・兄弟は法律上対象外。
- 特定技能1号の社員は原則として家族を新たに呼び寄せることができない。
- 家族滞在ビザの人を週28時間超・無許可で働かせると、社長が不法就労助長罪に問われる。
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