社長さん!!あなた逮捕されますよ!!29 ~【高度専門職】「自分は80点ある!」の自己採点は事故の元! ポイント制ビザの落とし穴~

社長さん!!あなた逮捕されますよ!!/はぶ行政書士事務所の羽生です。

「うちの外国人スタッフ、高度専門職が取れそうだから申請してみた」——そう軽く考えていませんか?

ポイントの”自己採点”と、入管が認める”証拠ベースの採点”はまったくの別物です。

証拠のないポイントは0点。「80点あると思っていたのに、気づいたら不許可」というケースが、実際に起きています。

【この記事の重要ポイント】

  • 「高度専門職」とはどんな在留資格か――ポイント制の基礎と3つの活動類型
  • 「自己採点」と「入管の採点」は別物。証拠がないポイントは0点です
  • 「年収」の計算ミスと300万円の壁――足切りに気づかず申請する危険
  • 「高度専門職」取得のメリットと、社長が押さえるべき実務上の注意点

「高度専門職」とはどんな在留資格か――ポイント制の基礎と3つの活動類型

高度専門職は、日本の経済・学術に高い貢献が見込まれる「ハイスペック人材」を優遇するために設けられた、ポイント制の就労系在留資格です。2012年(平成24年)5月から導入されました。

通常の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)が「要件を満たすかどうか(○か×か)」で審査されるのに対し、高度専門職は学歴・職歴・年収・年齢などの項目ごとに点数が設定されており、その合計が70点以上に達した場合のみ許可されます。

活動類型は大きく3つです。

類型 正式名称 対象の例
1号イ 高度学術研究活動 研究者、大学教授など
1号ロ 高度専門・技術活動 エンジニア、IT専門職など
1号ハ 高度経営・管理活動 会社経営者、役員など

「うちの優秀なエンジニアに高度専門職を取らせたい」という経営者の方は増えています。それ自体は正しい判断です。ただし、申請は「思っていたより複雑」——その落とし穴を次から説明します。

「自己採点」と「入管の採点」は別物。証拠がないポイントは0点です

「計算したら85点あります!」と自信満々で申請に来る方がいます。ところが、入管が実際に認定したのは65点で、不許可——こういうことが起きます。

なぜか。入管は「事実」ではなく「書面」しか見ないからです。

職歴の罠:「実務経験10年でポイント加算できる」と思っていても、過去の全勤務先から在職証明書を取り寄せられなければ、その期間は0点です。倒産していて連絡がつかない、書類が出てこない——これは珍しくありません。

学歴の罠:海外の大学を卒業している場合、「卒業証書があれば大丈夫」とは限りません。「学位取得証明書」として認められる書類が必要で、場合によっては公的機関による証明が求められます。

MBAの罠:「MBA保持者だから加算!」と思っても、その大学院が入管の定める加算対象校リストに入っていなければ、「ただの修士号」として扱われます。MBAなら何でもポイントになるわけではありません。

申請前に「取れる点数」ではなく「証明できる点数」を冷静に棚卸しすることが不可欠です。

「年収」の計算ミスと300万円の壁――足切りに気づかず申請する危険

高度専門職(1号ロ・ハ)には、年収300万円以上という絶対的な下限要件(足切り)があります。ポイントがどれだけ高くても、ここを下回れば一発で不許可です。

ここで多いのが「年収の計算方法」の誤解です。

ポイント計算に使う年収は、過去の実績ではなく「向こう1年間の見込み年収」です。かつ、残業代・通勤手当は含められません。「基本給+確定ボーナス」など、雇用契約上確定している金額のみで計算します。

例えばこういうケースです。「昨年の源泉徴収票では350万円だったので大丈夫」と思っていたら、残業代が80万円含まれており、確定年収は270万円。足切りアウト——というのは現実にある失敗パターンです。

新卒採用やスタートアップで「最初は給料低め」という状況は、この足切りに引っかかるリスクが高い。申請する前に、必ず雇用契約書ベースで残業代を除いた金額を確認してください。

「高度専門職」取得のメリットと、社長が押さえるべき実務上の注意点

厳しい話を続けましたが、高度専門職が取れた場合のリターンは絶大です。優秀な外国人材を採用・定着させたい経営者にとって、強力な武器になります。

主なメリットはこちらです。

優遇措置 内容
永住申請の短縮 通常10年 → 70点で3年、80点以上でわずか1年に短縮
在留期間「5年」 初回から一律5年。更新の手間が大幅に軽減
配偶者の就労 学歴・職歴要件なしに就労可能(時間制限なし)
親の帯同 7歳未満の子の養育等、一定条件下で父母の帯同が可能(通常の就労ビザでは不可)
複合的な活動 自社経営と大学での研究など、複数在留資格にまたがる活動が可能
審査の優先処理 在留審査は申請受理から5日以内を目途に処理

ただし、社長として押さえるべき実務上の注意点があります。高度専門職は「指定された機関(会社)での活動」が前提の在留資格です。転職・出向・兼業など、所属機関が変わる場合は必ず在留資格変更許可申請が必要になります。これを放置して他社で働かせると、不法就労になります。

また、高度専門職1号から2号への変更(在留期間「無期限」)は、1号取得後3年が経過してから申請できます。「取ったら終わり」ではなく、その後の管理も重要です。


【まとめ】Vol.29 高度専門職の申請で社長が踏む地雷

  • 高度専門職はポイント制(70点以上)。自己採点ではなく「証明できる点数」で考えること。証拠のないポイントは0点。
  • 年収300万円未満は一発足切り。残業代を除いた確定報酬で計算し直すこと。
  • 取得後も「所属機関の変更=在留資格変更申請が必要」。転籍・出向を無届けで行うと不法就労になる。

【リスクを放置していませんか?逮捕されてからでは遅すぎます】

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