特定技能の解雇・失踪・転職 「時給50円高いので辞めます」は止められない!?──社長さん!!あなた逮捕されますよ!!42
社長さん!!あなた逮捕されますよ!!
はぶ行政書士事務所の羽生です。
「高い紹介料を払って、わざわざ海外から呼び寄せたのに、半年で『辞めます』だと?冗談じゃない」——最近、こういう相談が本当に増えました。
技能実習の感覚が抜けない社長ほど、ここで大きな勘違いをします。特定技能の外国人には、日本人と同じ「職業選択の自由」があります。引き留めようとした行為そのものが、社長を処罰の対象に変えてしまうのです。
この記事は、外国人雇用・入管業務を専門に世田谷で10年やってきた行政書士・羽生が、実際の相談現場で見てきたことをもとに解説します。「転職」「失踪」「解雇」——この3つで足をすくわれる社長が、後を絶ちません。
Contents
【この記事の重要ポイント】
- 「3年は辞めないよう”契約書”で縛れませんか?」──特定技能の引き留めは違法です
- 「ある日突然、寮から消えた」──失踪を隠すと社長が共犯になります
- 「”辞めます”と言われた」──2025年4月から退職の届出が変わりました
- 「経営が苦しいので一人だけ解雇したい」──会社都合解雇で採用が1年止まります
「3年は辞めないよう”契約書”で縛れませんか?」──特定技能の引き留めは違法です
「3年以内に辞めたら違約金50万円」「辞めるなら渡航費と紹介料を全額返せ」——コストを回収したい一心で、こういう契約書を作ろうとする社長がいます。なかには「逃げないようにパスポートを会社で預かっておく」という人まで。
結論から言うと、これらは全部アウトです。違約金や費用の全額返還を退職の条件にするのは労働基準法違反(賠償予定の禁止)、パスポートの取り上げも完全な違法行為です。そして入管法の世界では「労働に関する法令違反」として扱われ、発覚すれば向こう5年間、特定技能外国人の受入れができなくなります。一人を縛ろうとした結果、会社全体が外国人を雇えない体になる、ということです。
特定技能の外国人は、「隣町の会社のほうが時給が50円高い」というだけの理由で、合法的に転職する権利を持っています。「金」と「恐怖」で縛る時代は、とっくに終わりました。
正しい順番はこうです。縛るのではなく、「この会社で働き続けたい」と思わせる待遇と環境をつくる。これが唯一の合法的な引き留め策です。
「ある日突然、寮から消えた」──失踪を隠すと社長が共犯になります
朝、寮を見に行ったらもぬけの殻。電話も通じない。いわゆる「失踪」です。ここで「世間体が悪い」「入管に知られたら次の採用に響く」と考えて、黙っておこうとする社長がいます。これが最悪の判断です。
外国人と連絡が取れなくなったら、その事由が判明した日から14日以内に「受入れ困難に係る届出」を入管へ提出する義務があります。隠したり、嘘の報告をしたりすれば、それ自体が罰則の対象です。事件・事故に巻き込まれている可能性もあるので、警察への行方不明者届も必要になります。さらに、失踪の原因が最低賃金割れやパワハラなど会社側の責任(人権侵害)だった場合、以後1年間(悪質なケースでは5年間)、外国人の受入れができなくなります。
実際にあった話を一つ。私が在留資格の申請をしようとしていた外国人が、その手続きの前に窃盗で捕まってしまったことがあります。このケースは、まだ採用前・申請前だったので「採用取りやめ」で終わりました。雇う前なら、社長はまだ引き返せるのです。
ですが、これが「雇った後」だったら話はまったく違います。雇用した外国人が失踪したり事件を起こしたりしても、社長は「なかったこと」にはできません。届出義務が走り、隠せば共犯側に回る。雇った瞬間から、社長の責任は逃げられないものに変わるということです。
正しい順番はこうです。連絡が取れなくなったら、隠さず14日以内に入管へ「受入れ困難に係る届出」を出す。これが社長自身を守る唯一の道です。
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「”辞めます”と言われた」──2025年4月から退職の届出が変わりました
本人から「辞めたい」と言われた瞬間、まず引き留めにかかる。違約金の話をちらつかせて思いとどまらせる——これをやろうとする社長が、まだいます。引き留めや違約金請求が違法なのは、前述のとおりです。本人が辞めると決めたなら、止める権利は社長にありません。
手続き面では、2025年4月の制度改正で負担が一つ減りました。本人の自己都合による退職については、「受入れ困難に係る届出」が不要になりました。以前は申し出があった時点で届出が必要でしたが、現在は申し出時点での届出も不要。退職が確定した後に「雇用契約終了の届出」を出せば足ります。
ただし、勘違いしてはいけないのは、これは「手続きが簡素になった」だけだという点です。届出が一つ減ったからといって、引き留めや違約金の違法性が消えたわけではありません。やるべきことは変わらず、辞める本人をきちんと送り出すことです。
正しい順番はこうです。本人が辞めると決めたら引き留めず、転籍を支援し、退職が確定した後に「雇用契約終了の届出」を出すだけ。これで完結します。
「経営が苦しいので一人だけ解雇したい」──会社都合解雇で採用が1年止まります
「仕事が減ったから」「あいつは使えないから」——軽い気持ちで、会社都合の解雇をしようとする社長がいます。たった一人を切るだけ、何が問題なんだ、と。
これが一番こわい落とし穴です。特定技能雇用契約の締結日前1年以内、または締結後に、同種の業務に従事する労働者(日本人や他の在留資格の外国人を含む)を非自発的に離職させると、受入れ機関の欠格事由に該当します。つまりたった一人を会社都合でクビにすると、向こう1年間、新しい特定技能外国人を一人も採用できなくなります。在留期間の更新にも影響が出る恐れがあります。
さらに、会社都合での退職の場合は、自己都合と違って「受入れ困難に係る届出」と「受入れ困難となるに至った経緯に係る説明書」の提出が必要です。本人が日本での就労継続を望むなら、ハローワークや登録支援機関につなぐ転籍支援の義務もあります。「減らす」つもりが、手間も制約も一気に増えるのです。
正しい順番はこうです。解雇を通告する前に、まず登録支援機関などに相談し、他社への転籍を支援する。クビを切るのは、本当に最後の手段です。
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【まとめ】転職・失踪・解雇で、社長が覚えておくべきこと
- 違約金契約・パスポート預かりは違法。発覚すれば5年間の受入れ禁止。「縛る」のではなく「辞めたくない環境」をつくる。
- 失踪したら隠さず14日以内に入管へ届出。黙っていると共犯側に回り、罰則の対象になる。
- 自己都合退職は退職確定後に「雇用契約終了の届出」だけでOK(2025年4月改正)。会社都合解雇は1年間の採用停止+追加の届出が必要。
【「うちは大丈夫か?」と思ったら、その直感は当たっています】
外国人雇用のコンプライアンス違反は、「知らなかった」では済まされません。経営者本人が刑事責任を問われる例が、現実に起きています。
でも、この記事を読んでいる時点で、あなたはまだ間に合う側にいます。対応は早いほど、打てる手が残ります。
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| ステップ | 内容 | 費用(税込) |
|---|---|---|
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