経営管理ビザ更新で不許可になる本当の理由は社会保険・税金の未納です/社長さん!!あなた逮捕されますよ!!Vol68.

はぶ行政書士事務所の羽生(はぶ)です。

今回は、逮捕の話ではありません。ですが、社長さんにとっては同じくらい重い話です。

今回は、逮捕の話ではありません。ですが、社長さんにとっては同じくらい重い話です。

経営・管理ビザの更新が厳しくなった――そう聞いて、「資本金3,000万円なんて無理だ」と青くなっている社長さんが増えています。ところが、実際に更新でつまずいている人の理由は、そこではありません。もっと手前にあります。

更新が通らなければ、会社が残っていても、経営している本人が日本にいられなくなります。従業員も取引先も、そこで止まります。

外国人雇用・入管業務を専門に、東京・世田谷で10年やってきた行政書士として、相談の現場で見てきたことをもとにお話しします。

【この記事の重要ポイント】

「3,000万円なんて用意できない。もう終わりだ」──3,000万円には3年の猶予があります。未納にはありません

2025年10月16日から、経営・管理ビザの許可基準が変わりました。資本金3,000万円以上、常勤職員1名以上、日本語能力――このあたりを見て、「うちは無理だ」と諦めモードに入っている社長さんが多い。

ここは落ち着いてください。出入国在留管理庁は、施行日から3年が経過するまで(2028年10月16日まで)の間は、新しい基準を満たしていないことだけを理由に更新が不許可になることはない、とはっきり示しています。3,000万円が用意できないから即帰国、という話ではありません。

問題は、その先です。同じ改正で、更新のときに公租公課(社会保険・労働保険・税金)の支払義務をきちんと果たしているかを確認する、と明記されました。そして、こちらには3年の猶予がありません。施行日から、すぐに見られています。

しかも、3年経過後の救済ルート――「基準を満たしていなくても、経営状況が良好なら総合的に判断する」という道――にも、法人税等の納付義務を適切に履行していることが条件として入っています。未納があると、猶予と救済の両方が同時に閉じることになります。

結論:資本金3,000万円には3年の猶予があります。社会保険・税金の未納には、猶予がありません。焦って見るべきは、3,000万円ではなく納付状況のほうです。

「今まで通ってたのに、なんで急にバレるの?」──更新時に公租公課を確認すると、はっきり明記されました

「前回まで問題なく通っていた。会社の中身は変わっていないのに、なぜ今回だけ?」と感じる社長さんは多いはずです。

変わったのは、会社ではなく審査のほうです。改正前は、更新時に出す納税関係の書類といえば、申請人本人の住民税の証明くらいでした。今は、会社としての納付状況を丸ごと確認されます。入管庁が公表している確認対象は、具体的にはこうです。

区分 確認される内容 取得先
労働保険 雇用保険の被保険者資格取得と保険料納付、労災保険の適用手続の状況 都道府県労働局
社会保険 健康保険・厚生年金保険の被保険者資格取得と保険料納付 年金事務所
国税 源泉所得税および復興特別所得税、法人税、消費税および地方消費税 税務署
地方税 法人住民税(都道府県民税・市区町村民税)、法人事業税 都道府県税事務所・市区町村

 

ここで社長さんが必ず聞いてくるのが、「全部出さないとダメなの? 一つでいいんじゃないの?」という質問です。入管庁はQ&Aで、納付が義務づけられているものは全て提出が必要だと答えています。都合のいい1枚だけを選んで出す、という逃げ道はありません。

つまり、未納や未加入があれば、書類の上にそのまま出てきます。隠しようがない仕組みに変わった、ということです。

▷出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」
https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/10_00237.html

結論:更新審査は「払えているか」を書類で見える化する仕組みに変わりました。義務づけられているものは全部出す必要があり、未納は提出した瞬間に伝わります。

「税理士や社労士に任せてるから大丈夫でしょ?」──「申告済み」と「納付済み」は別物です

ここが一番の油断ポイントです。「専門家に任せているんだから、当然払えているはずだ」。この思い込みで、直前に足をすくわれる社長さんが本当に多い。

よくあるパターンはこうです。申告そのものはきちんと出ている。ところが納付が滞っている。あるいは、社会保険の加入手続き自体が何年も漏れたままになっている。本人に自覚がないまま更新の準備に入り、証明書を取り寄せて初めて「未納あり」と印字されたものが出てくる。この瞬間、更新は一気に苦しくなります。

誤解のないように申し上げますが、税理士や社労士が悪いという話ではありません。委託していても、納付する義務を負っているのは会社であり、社長さん自身です。資金繰りが厳しい月に納付を後回しにした――その記憶があるのは社長さんだけで、外部の専門家には見えません。

それと、入管庁ははっきり書いています。経営状況や納税状況に問題がなくても、労働関係法令の遵守状況や社会保険・雇用保険・労災保険の加入状況に問題があれば、審査で消極的な要素と判断され、更新が認められない事例もある、と。「税金は払っている。社会保険は入っていない」では足りない、ということです。

結論:「申告済み」と「納付済み」は違います。誰に任せていようと、今日ご自身で納付状況と加入状況を確認してください。

「もう未払いがある。詰んだ?」──先に整えてから申請する”順番”があります

調べたら未納があった。もうダメだ――と諦めるのは早いです。ただし、慌ててそのまま申請してしまうのが、一番まずい動き方です。

順番は決まっています。まず納付する。次に「納付済み」の状態で証明書を取る。そのうえで申請する。この順番を守れば、まだ打てる手が残ります。逆に、未納のまま先に申請すれば、自分から不許可を取りに行くようなものです。

気をつけていただきたいのは、時間です。上の表のとおり、証明書の取得先は労働局・年金事務所・税務署・都道府県税事務所・市区町村と、5か所に分かれています。窓口ごとに手続きも所要日数も違い、郵送でしか受け付けていないものもあります。納付してから証明書が手元に届くまで、1〜2週間かかることも珍しくありません。

▷関連記事:経営管理ビザ更新の必要書類、労働保険料等納入証明書は郵送のみ

在留期限から逆算すると、「気づいてから動く」では足りない場面が出てきます。動き出しは、期限の2〜3か月前が目安です。

結論:未納があるなら、申請より先に「払う → 証明を取る → 申請する」。順番さえ守れば、まだ間に合います。期限が近いなら、動くのは今日です。

要するに、これだけ覚えておけば大丈夫です

  • 資本金3,000万円などの新基準には2028年10月16日までの猶予があるが、社会保険・労働保険・税金の未納には猶予がない。焦って見るべきはこちら。
  • 更新時には公租公課の履行状況が確認され、義務づけられている証明書は全て提出が必要。未納は書類でそのまま露見する。
  • 「申告済み」と「納付済み」は別物。未納があるなら、申請より先に「払う → 証明を取る → 申請する」の順番で、期限の2〜3か月前から動く。

 

 

【「うちは大丈夫か?」と思ったら、その直感は当たっています】

外国人雇用のコンプライアンス違反は、「知らなかった」では済まされません。経営者本人が刑事責任を問われる例が、現実に起きています。

でも、この記事を読んでいる時点で、あなたはまだ間に合う側にいます。対応は早いほど、打てる手が残ります。

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