社長さん!!あなた逮捕されますよ!!~58~ 虚偽申請の代償。書類の「書き換え」と「黙認」が招く、刑事罰と5年間の受け入れ停止。

「実態に合わせて、少し書類を直しておけ」

「入管にはこう言っておけば通る」

 現場で日常的に行われるこうした

「書類の整合性を合わせるための調整」

は、特定技能制度においては、入管法第74条の6(不法入国等助長罪)や虚偽届出に該当する明確な犯罪行為です。

 一度でも「嘘」を混ぜた書類を提出すれば、その記録は半永久的に残り、貴社を追い詰める爆弾となります。これは特定技能に限った話ではありません。

1. 「事実の加工」は、国に対する虚偽申請である

 入管へ提出する書類(雇用契約書、賃金台帳、実習実施状況報告書など)は、すべて「事実」に基づかなければなりません。

  • 典型的な虚偽の例: 実際には支払っていない手当を計上する、残業時間を少なく見せかける、あるいは出勤していない親族を「常勤職員」として数え、受入れ枠を水増しする。

  • 「調整」の違法性: 実態が法に適合していないからといって、書類上の数字や記述を「適合するように書き換える」行為は、その時点で公的な審査を妨害する不正行為です。

 入管の審査官は、提出された書類の矛盾を突くプロです。

 最近はより厳格に審査しております。

 なので前後の報告書や、税務資料、そして他社から転籍してきた際の過去のデータと照合されれば、わずかな「書き換え」も即座に露呈します。

2. 「知らなかった」は不法就労助長の共犯となる

 書類の作成を部下や支援機関に任せていたとしても、その内容に虚偽があれば、申請者である「受入れ企業」がその責任を負います。

  • 黙認の罪: 内容の不自然さに気づきながら、あるいは確認を怠って判を押した場合、それは虚偽申請の「黙認」であり、組織的な不正とみなされます。

  • 虚偽届出の罰則: 事実に反する届出を行った場合、1年以下の懲役または20万円以下の罰金といった刑事罰の対象となるだけでなく、不法就労を隠蔽するための偽装であれば「不法就労助長罪」としてより重い罰(3年以下の懲役・300万円以下の罰金)が科せられます。

 「現場が勝手にやった」

 「支援機関が作った」

 という弁明は、経営者の管理能力の欠如を証明するだけであり、罰を回避する理由にはなりません。

3. 「5年間」の排除。取り返しのつかない信用失墜

 虚偽申請によって得た在留許可は、発覚した瞬間に取り消されるだけではありません。

  • 行政処分: 「不正又は著しく不当な行為」による欠格事由への該当。

  • 帰結: 処分から「5年間」、貴社は一切の特定技能外国人を受け入れることができなくなります。

 一度「嘘をつく会社」として入管のブラックリストに載れば、5年が経過した後の審査も極めて厳しくなります。

 また、建設業の場合、建設業法等の他法令に基づく行政処分(営業停止等)が連鎖し、公共工事の指名停止や取引先からの契約解除を招くことになります。

■ 本日のまとめ:書類作成の検品ポイント

  • 一次資料との整合性: 申請書類の内容が、実際の「賃金台帳」「出勤簿」「通帳の写し」と1円、1分たりとも違わずに作成されていますか。

  • 「枠」の正当な算出: 常勤職員数や役員報酬の実態が、受入れ枠を確保するために不当に操作されていないですか。

  • 代表者による最終確認: 署名・捺印する前に、社長自らが書類の内容を精査し、自身の言葉で事実であると断言できる状態にありますか。

  • 隠蔽体質の完全排除: 「バレなければいい」という現場の空気が、結果として「5年間の受入れ停止」という経営破滅を招く最大のリスクであることを全社に周知しましょう。