社長さん!!あなた逮捕されますよ!!~59~ 監査と立ち入り調査への備え。現場の「逃げ隠れ」が招く、即時の受入れ停止。

「入調査が来たら、適当に話を合わせておけ」

「都合の悪い書類は隠してしまえ」

 もし現場にそのような指示を出しているなら、それは貴社の首を自ら絞める行為です。

 特定技能制度における「立ち入り調査」や「監査」は、単なる事務確認ではありません。

 そこでの非協力的な態度や隠蔽工作は、それ自体が独立した欠格事由となり、貴社の経営を即座に停止させる破壊力を持っています。

1. 抜き打ち調査は「拒否」も「延期」もできない

 地方出入国在留管理局の調査官は、事前の通告なく貴社の事業所や現場に現れます。これは入管法第19条の21に基づく公的な権限です。

  • 質問検査権の行使: 調査官は、社長や従業員への質問、帳簿書類の閲覧、現場の視察を行う権限を有しています。

  • 「非協力」の代償: 調査を拒む、あるいは「担当者が不在だ」と偽って追い返す行為は、それだけで「適正な受入れがなされていない」と判断される十分な材料となります。

 現場で働く外国人本人に対しても、個別のヒアリングが行われます。社長の前では言えない「実態」が、この場で一気に露呈することを覚悟しなければなりません。

2. 書類隠蔽と口裏合わせが招く「組織的犯罪」

 調査の際、慌てて出勤簿を書き換える、あるいは特定の外国人を現場から隠すといった行為は、事態を最悪の方向へ導きます。

  • 証拠隠滅の認定: 提出された書類の不自然な修正跡や、外国人本人の供述との矛盾が見つかった場合、それは「組織的な隠蔽」とみなされます。

  • 不法就労助長罪の適用: 実態を隠すために嘘をついた場合、単なる行政上の不備ではなく、悪質な不法就労を隠蔽したとして、刑事罰(不法就労助長罪)の捜査対象に切り替わります。

一度「組織的に嘘をつく企業」と認定されれば、その後の弁明は一切聞き入れられません。

3. 監査の失敗がもたらす「5年間の空白」

 立ち入り調査で重大な違反や不誠実な対応が確認された場合、情状酌量の余地なく厳しい処分が下されます。

  • 行政処分: 「不正又は著しく不当な行為」による欠格事由への該当。

  • 帰結: 処分から「5年間」、貴社は一切の特定技能外国人を受け入れることができなくなります。

 入管だけでなく、建設分野であれば国交省、外食や製造であれば農水省など、各主務大臣にもその事実は通知されます。一箇所の現場での「逃げ」が、会社全体の全ての事業所、全ての在留資格に波及し、経営権を事実上失わせる結果となります。

■ 本日のまとめ:調査・監査の備えと検品ポイント

  • 常時備え付けの徹底: 出勤簿、賃金台帳、雇用契約書、支援実施記録など、いつ調査官が来ても即座に提示できる状態で整理されていますか。

  • 現場と本部の情報共有: 本部で作った書類と、現場での実態(残業代の支払い、作業内容)に1分の狂いもないことを、社長自らが現場で確認していますか。

  • 誠実な対応姿勢の確立: 調査を「敵対」と捉えず、適正な運営を証明する機会と捉え、現場責任者に対しても「隠蔽は即解雇・即廃業」であると徹底させていますか。

  • 外国人本人の本音把握: 調査官に「不満」をぶつけられる前に、日頃から本人とのコミュニケーションを密にし、不当な待遇が生じていないか確認しましょう。

  • 「逃げの代償」の再認識: その場の取り繕いが、結果として「5年間の受入れ禁止」と「刑事罰」を招き、会社を滅ぼす最大の引き金になります。