社長さん!!あなた逮捕されますよ!!30~外国人社員退職時の「入管への届出」に関する企業と個人の義務 ~

社長さん!!あなた逮捕されますよ!!/はぶ行政書士事務所の羽生です。

外国人社員が辞めた。それだけのことで、会社が行政指導を受け、場合によっては刑事罰の対象になることをご存じですか?
「ハローワークに届け出たから終わり」――その思い込みが、取り返しのつかないミスにつながっています。
退職時の届出義務は「会社がやること」と「本人がやること」の2本立てです。どちらが欠けても、リスクは残ります。


【この記事の重要ポイント】

  • 「ハローワークに出したから入管は不要」――その思い込みが最初の地雷
  • 外国人本人には「14日以内に入管へ届出」という個人義務がある
  • 届出漏れは永住申請・ビザ更新で確実にマイナス評価になる
  • 特定技能・技能実習(育成就労)は企業側にも入管への直接届出義務がある

「ハローワークに出したから入管は不要」――その思い込みが最初の地雷

外国人社員が退職したとき、会社がやるべき最初の手続きはハローワークへの「外国人雇用状況届出」です。これは雇用保険の被保険者か否かを問わず、退職日の翌月末日までに届け出ることが義務です。怠れば30万円以下の罰金の対象になります。

対象 提出書類 期限
雇用保険被保険者 雇用保険被保険者資格喪失届(備考欄に外国人情報を記載) 退職日の翌月末日まで
雇用保険非被保険者 外国人雇用状況届出書(様式第3号) 退職日の翌月末日まで

「会社がハローワークへ出したら、その情報は入管にも共有されるんでしょ?」

――おっしゃる通りです。確かに情報は国を経由して出入国在留管理庁へ通知されます。だから会社が「別途、入管へ届け出る義務」はない。ここまでは正解です。

ところが、多くの社長さんが見落とすのが「次の話」なんです。

外国人本人には「14日以内に入管へ届出」という個人義務がある

会社の届出とはまったく別に、退職した外国人本人が「14日以内」に自分で入管へ「契約機関(所属機関)に関する届出」をしなければならないという法的義務があります(入管法第19条の16)。

「会社が届け出てくれたから大丈夫」と思い込んでいる外国人社員は非常に多い。でもそれは大きな間違いで、会社の手続きと本人の手続きは完全に別物です。

届出方法は次の2通りです。退職時に本人へ必ず案内してください。

  • 電子届出システム(推奨):出入国在留管理庁の専用サイトで利用者登録し、退職日・企業名を入力するだけ。24時間いつでも無料で手続きできます。
  • 郵送:所定の届出書をダウンロードし、在留カードのコピーを同封して在留管理庁長官宛に郵送。

「そんなこと、うちの会社の責任じゃないでしょ?」

――責任の話ではありません。でも、案内しなかったことで元社員が将来的に損害を被る。そしてそれが会社への不信・トラブルに発展することがある。退職時に一言伝えておくのが賢明です。

届出漏れは永住申請・ビザ更新で確実にマイナス評価になる

「届出を忘れても、ビザの更新はできるんじゃないの?」

今すぐ困らない。それが一番やっかいなんです。

入管の審査、とりわけ永住許可の審査では、法令遵守の状況が過去にさかのぼって厳格に確認されます。「退職日から14日以内に届出をしていない」という記録が残っていれば、それは「届出義務違反」として審査上のマイナス評価になります。

本人は何年もあとになって初めて「あの退職のとき、届出していなかったせいで永住が却下された」と気づく。だからこそ退職時に「14日以内に自分で入管へ届け出てください」の一言を退職手続き書類に盛り込むことをおすすめしています。

特定技能・技能実習(育成就労)は企業側にも入管への直接届出義務がある

ここまでは「技術・人文知識・国際業務」など一般的な就労ビザの話でした。

特定技能・技能実習(2027年4月以降は育成就労)の社員については、話がまったく違います。

これらの在留資格では、会社がハローワークへ届け出るだけでは足りません。企業が直接、入管へ「雇用契約終了の届出」を退職日から14日以内に行うことが入管法で義務付けられています。これを怠ると行政指導・欠格事由の対象となり、最悪の場合、受入れ資格を失います。

2025年4月の制度改正により、外国人労働者が自己都合で退職する場合は「受入困難届出」は不要になりました。ただし、退職確定後の「雇用契約終了の届出」は引き続き必要です。「もう届出しなくていい」という誤解が実際に起きていますので、ご注意ください。

また、支援の継続が困難になった場合には「支援実施困難届出」を14日以内に提出する義務も2025年4月改正で新たに義務化されています。登録支援機関に任せきりにしていると、この義務を見落とすリスクがあります。


【Vol.30 まとめ】

  • 会社のハローワーク届出と、本人の入管届出は完全に別物。両方なければコンプライアンスは完結しない。
  • 本人が届出を怠ると数年後の永住申請・ビザ更新で確実に不利になる。退職時の一言案内が重要。
  • 特定技能・技能実習(育成就労)は企業にも入管への直接届出義務(14日以内)がある。2025年改正の誤解に要注意。

【リスクを放置していませんか?逮捕されてからでは遅すぎます】

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