社長さん!!あなた逮捕されますよ!!36 育成就労の手続き ~新制度「育成就労」の手続きはなぜ面倒?雇用契約だけでは済まない「育成計画」と「試験」の壁~
社長さん!!あなた逮捕されますよ!!
はぶ行政書士事務所の羽生です。
「育成就労?特定技能?なんか似たような話ばっかり出てきて、結局どっちで採ればいいの?」
そうやって制度の違いを曖昧にしたまま採用を進めると、後から「こんなはずじゃなかった」という事態を招きます。
2027年から始まる新制度、今のうちに整理しておきましょう。
Contents
1.一言で言うと「育成就労」は入口、「特定技能」は出口
「育成就労」と「特定技能」は、バラバラの制度ではありません。
一本の階段です。
育成就労は、未経験の外国人を3年間かけて「特定技能1号」レベルの即戦力に育てるための制度です。対して特定技能は、すでに一定のスキルと日本語能力を持つ人が、現場で即戦力として働くための制度です。
技能実習には「国際貢献」という建前がありましたが、育成就労では「人材育成と人材確保」が法律上の目的として正面から明記されています。「労働者として受け入れる」という実態に、制度の名目がようやく追いついた形です。
育成就労を終えた外国人は、特定技能1号(最大5年)を経て、特定技能2号(実質無期限・家族帯同可)へと進むことができます。うまくいけば、採用した人材を定年まで雇用し続けることも、制度上は可能になります。
2.「どこが同じ」で「どこが違う」のか。比較表で確認する
まず共通点から。両制度とも、働ける分野は「特定産業分野(特定技能の対象分野)」に限られます。育成就労はその中から国内での育成になじむ分野が選ばれるため、「特定技能で働ける=育成就労で学べる」という形に基本的に統一されています。日本語能力の目標も共通で、育成就労を終える頃には特定技能1号の条件であるA2相当(日本語能力試験N4程度)の習得が求められます。
次に違いです。入国時のスキルについては、育成就労は未経験OKですが、特定技能は試験合格か技能実習の修了が必要です。在留期間は育成就労が原則3年、特定技能1号が通算5年(2号になれば無制限)です。家族の帯同は、育成就労と特定技能1号はともに原則不可で、特定技能2号になって初めて認められます。サポート体制については、育成就労では「監理支援機関」が企業を指導・監理する立場に立ち、特定技能では「登録支援機関」が外国人の生活支援を行います。転籍(転職)は、育成就労では一定の条件付きで可能、特定技能では条件なく可能です。
▷関連記事:Vol.36:育成就労の手続き〜新制度「育成就労」の手続きはなぜ面倒?
3.「転籍できる」の意味を、社長は本気で受け止めてほしい
育成就労で最も重要なポイントが、この「転籍(転職)」です。
旧・技能実習制度では、原則として転職ができませんでした。だから「うちの工場で3年間は確実に働いてもらえる」という感覚があったと思います。育成就労はそこが根本的に変わります。
一定の条件(1〜2年の就労実績や日本語試験の合格など)を満たせば、本人の意向による転籍が認められます。「隣の工場の方が時給が高いから移る」という話が、育成就労でも起き得るということです。
特定技能で転籍を止められないことを解説した記事でも繰り返し書いていますが、「金や契約で縛る」時代はもう終わっています。「この会社で働き続けたい」と思わせる環境と待遇を作れるかどうかが、これからの外国人雇用の勝負どころです。
▷関連記事:Vol.42:「時給が50円高いので辞めます」は止められない!?特定技能の転職と失踪・解雇の罠
4.「どちらを選ぶべきか」は、状況次第で変わる
即戦力がほしいなら特定技能、未経験から育てたいなら育成就労という整理は、ある意味で正しいです。ただし、実際には「業種」「地域」「採用したい人材の属性」「自社の管理体制」によっても判断は変わります。
育成就労では、監理支援機関のサポートを受けながら受け入れる形が基本になります。特定技能では、登録支援機関に生活支援を委託できますが、定期届出などの書類義務は受け入れ企業自身が負います。なお2025年4月の制度改正により、定期届出は年4回から年1回(提出期間:毎年4月1日〜5月31日)に変更されています。手間は減りましたが、義務が消えたわけではありません。
「どちらから始めるべきか」は、自社の状況を整理した上で判断することをお勧めします。制度の切り替わり時期は複雑なルール変更が重なりやすいため、思い込みで動く前に、専門家に一度確認してください。
▷関連記事:Vol.37:特定技能の手続きが複雑すぎる理由|企業に義務付けられた「生活支援」と定期報告の正体
- 「育成就労」は特定技能への入口。3年間で即戦力を育てる制度であり、「技能実習の代替」ではなく目的も仕組みも異なる新制度だと理解しておく。
- 転籍(転職)は育成就労でも認められる。「3年は安心」という技能実習時代の感覚は通用しない。選ばれる職場を作ることが不可欠。
- 特定技能の定期届出は2025年4月から年1回に変更済み。ただし義務自体は続いており、提出を怠れば受け入れ資格に影響する。
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