社長さん!!あなた逮捕されますよ!!23 ~専門学校卒(専門士)の留学生を採用されるときの注意事項

社長さん!!あなた逮捕されますよ!!/はぶ行政書士事務所の羽生です。

「日本の専門学校を出てるから、技人国(技術・人文知識・国際業務)でビザは取れるだろう」――その油断、本当に危ないです。

大学卒(学士)と専門学校卒(専門士)は、入管法では全く別ルールで審査されます。専攻と業務がズレた瞬間、ビザは不許可。強行すれば、社長が不法就労助長罪に問われます。

今回は、専門士の留学生を採用するときに社長が絶対に踏んではいけない地雷を、4つの場面で具体的に解説します。

【この記事の重要ポイント】

  • 「大卒も専門卒も同じ学校卒業」という勘違いが不許可を呼ぶ
  • 専門士は「専攻と業務の完全一致」が絶対条件
  • 「日本語が上手いから事務」では通用しない
  • 採用前に成績証明書を取り寄せて履修科目を確認する

「大卒も専門卒も同じ学校卒業」という勘違いが不許可を呼ぶ

面接で出会った留学生について、社長がこう言うのをよく聞きます。

「日本の専門学校を卒業していて、日本語も流暢だ。人柄もいい。営業事務や現場のサポートをやってもらおうと思う。大学卒も専門学校卒も、高等教育を受けているという点では同じだろう?」

恐れながら申し上げます、社長。その採用計画のままビザ申請をすれば、ほぼ間違いなく不許可です。

大学卒と専門学校卒は、入管法の審査基準において、まったく別のルールで運用されています。同じ「学校卒業者」として並べてはいけません。

違いはこうです。

区分 学校の定義 専攻と業務の関連性
大学卒(学士) 広い教養と学術的知識を授ける場 緩やか(柔軟に解釈される)
専門学校卒(専門士) 職業に必要な能力を育成する場 厳格(ピンポイントで審査される)

大学卒は「広く学んできた人」として扱われます。法学部出身者がITエンジニアになるとか、経済学部出身者がホテルのフロント業務をするとか、そういう道も認められやすい。学部と職務の関連性は比較的柔らかく見てもらえます。

ところが専門学校卒は違います。「特定職業のプロを育てる学校」という定義です。だから入管は「学校で習得した専門技術を、そのまま活かせる仕事なのか」をピンポイントで見にきます。ここがズレていたら、容赦なく不許可です。

▷関連記事:Vol.5 ~在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは?~

専門士は「専攻と業務の完全一致」が絶対条件

専門学校卒で技人国を取るには、専攻した内容と従事する業務がベストマッチでなければいけません。「だいたい近い」「関連はある」ではダメです。

具体例で見ていきます。

【ケースA:不許可リスク大】

  • 本人の専攻:ファッションデザイン科、アニメーション科、調理師科、美容科など
  • 会社が与える業務:営業、一般事務、貿易事務、飲食店のホール
  • 判定:不許可

入管はこう判断します。「服のデザインや絵を描く技術を学びに来日したのに、なぜ御社で事務をするのですか? その業務にデザインの専門知識は不要ですよね?」

【ケースB:よくある勘違いの不許可】

  • 本人の専攻:ホテル・ブライダル科
  • 会社が与える業務:建設会社の通訳・事務
  • 判定:不許可

「彼はホテル接客のプロとして教育を受けています。建設用語や建築図面の知識は学校で学んでいません。日本語ができるというだけでは、専門性を活かしているとは認められません」――こう言われて終わりです。

【ケースC:許可される】

  • 本人の専攻:自動車整備科
  • 会社が与える業務:自動車整備士(または整備工場のフロント業務)
  • 判定:許可

学んだ知識と業務が直結しているからです。専門士のビザは、ここまでハッキリしていないと通りません。

もし、現場が忙しいからといって専攻と無関係な単純労働をさせれば、それは在留資格で認められていない活動――つまり不法就労です。社長は不法就労助長罪に問われます。3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金。「知らなかった」では済みません。

▷関連記事:Vol.12 〜不法就労助長罪について~

「日本語が上手いから事務」では通用しない

「彼は日本語がペラペラだから、通訳や事務をやらせよう」――これも危険な発想です。

日本語能力が高いことと、就労ビザの要件を満たすことはイコールではありません。ここを混同する社長が本当に多い。

専門学校卒で「通訳・翻訳」として技人国を取るには、原則として「通訳・翻訳学科」や「国際ビジネス学科」などで、体系的に語学やビジネス実務を学んでいる必要があります。

アニメ科を卒業した留学生が、日本語能力試験N1を持っていて会話も流暢だったとしても、それだけで一般企業の事務職ビザを取ることは極めて困難です。

むしろ、これを強行すると入管はこう疑います。「これは単純労働をさせるための偽装申請ではないか?」――そう判定された瞬間、不許可どころか、その会社は今後の申請にも影響が出ます。要するに目をつけられます。

「日本語が上手い」は採用の魅力ではあっても、ビザの要件ではない。これは絶対に覚えておいてください。

採用前に成績証明書を取り寄せて履修科目を確認する

では、社長は何を確認すればいいのか。順番に書きます。

1. 卒業証書だけで判断しない。「成績証明書」を必ず取り寄せる

卒業証書には「〇〇科を卒業しました」としか書かれていません。これでは、入管が見たい「具体的に何を学んだか」が分かりません。

成績証明書には履修した科目名が一覧で載っています。「簿記論」「マーケティング基礎」「C言語プログラミング」「ホテル実務論」――こういう科目名が並んでいるはずです。これを取り寄せてください。

2. 履修科目と業務内容を「線で結ぶ」

成績証明書の科目名と、自社で担当させる予定の業務を突き合わせます。「この科目の知識は、ウチのこの業務で使う」と一本の線で結べるか。

もし、一つも線が結べないなら、その候補者の技人国採用は見送るべきです。どれだけ人柄がよくても、日本語が流暢でも、無理なものは無理です。

3. 採用理由書を準備する

関連性がある場合でも、申請時には「なぜこの学生でなければならないのか」「彼の学んだ〇〇という科目が、当社の〇〇という業務にどう役立つのか」を論理的に説明する文書を添付するのが安全です。これがないと、関連性があっても審査官に伝わらないことがあります。

令和8年4月15日からは技人国カテゴリー3・4の提出書類ルールも変わっており、書類の組み立て方そのものが以前より厳しくなっています。古い感覚で「同じものを出せばいい」と思っていると足元をすくわれます。

▷関連記事:Vol.61 「4月15日から書類が変わった、知らなかった」では済まない話――技人国カテゴリー3・4の新ルール

まとめ:専門士の留学生を採用するときの鉄則

  • 専門学校卒(専門士)は、大学卒と違って「専攻と業務の完全一致」が絶対条件。ファッション科卒に営業事務をさせる、ホテル科卒に建設会社の通訳をさせる、これは不許可一直線。
  • 「日本語が上手いから事務」では通らない。通訳・翻訳業務でビザを取るには、原則として通訳・翻訳学科などで体系的に学んでいる必要がある。
  • 採用の可否は、面接の印象ではなく「成績証明書」で判断する。履修科目と業務が線で結べないなら、その候補者は技人国では雇えない。無理に申請すれば不許可になり、強行就労させれば社長が不法就労助長罪に問われる。

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