社長さん!あなた逮捕されますよ!! 6 ~在留資格「技術・人文知識・国際業務」の要件について ~
社長さん!!あなた逮捕されますよ!!
はぶ行政書士事務所の羽生です。
「うちの外国人スタッフ、大学も出てるし優秀だから問題ない」——そう思っていませんか。
でも、その人に「何の仕事をさせているか」次第で、ビザは不許可になり、最悪、社長であるあなた自身が刑事責任を問われます。
今日は、外国人雇用でいちばん使われる在留資格「技術・人文知識・国際業務(通称・技人国)」とは何なのか、そして社長が必ずつまずくポイントを、実際の不許可事例を交えてお話しします。
Contents
【この記事の重要ポイント】
- 「大学を出た外国人なら、どんな仕事でも技人国で雇えるんでしょ?」
- 「ちょっとくらい現場仕事もさせて大丈夫でしょ?」
- 「“マーケティング担当”ってことにすれば通るんですよね?」
- 「内定を出してから、ビザの心配は後でいい」
「大学を出た外国人なら、どんな仕事でも技人国で雇えるんでしょ?」
これは、いちばん多い勘違いです。「学歴があれば、職種は何でも技人国で通る」と思っている社長さんが本当に多い。
実際は違います。技人国は、大きく二つに分かれます。一つは「技術・人文知識」=自然科学や人文科学の専門知識を要する仕事(機械・ITの技術者、経理、企画、通訳・翻訳、デザイナー、語学教師など)。もう一つは「国際業務」=外国の文化に基盤を持つ思考や感受性が必要な仕事(海外取引、マーケティング、海外営業など)。私たち在留資格を扱う行政書士は、長いので「技・人・国(ぎじんこく)」と呼びます。
ざっくり言えば、技人国はオフィスで働くホワイトカラーのための在留資格です。逆に、コンビニの店員、工場のライン作業、調理、清掃、農業・漁業、ウェイター、建設現場の作業——こうした「現業」は、原則として技人国には当てはまりません。学歴と職務内容に関連性があるかも見られます。
正しい順番はこうです。「学歴があるか」ではなく、その人にやらせたい仕事の中身が、専門性のあるホワイトカラー業務として技人国の枠に入るかを、いちばん最初に確認する。ここを飛ばすと、後の全部が崩れます。
「ちょっとくらい現場仕事もさせて大丈夫でしょ?」
「人手が足りないから、技人国で来た子にも、たまには現場を手伝わせている」。これも危険な勘違いです。「少しなら」「バレないだろう」が、いちばん事故につながります。
許可された活動の範囲を超えて現業をさせると、それは不法就労になります。そして、させた側である社長は不法就労助長罪(入管法73条の2)に問われます。罰則は3年以下の拘禁刑(懲役)または300万円以下の罰金、あるいはその両方。
※なお、この罰則は2027年4月1日から『5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金』に引き上げられます(育成就労制度の開始と同時)。
しかも、この罪は「外国人雇用が初めてで知らなかった」では済まされず、過失(確認を怠った)でも成立します。当然、本人のビザ更新も通らなくなります。
正しい順番は、職務を技人国の範囲内に保つこと。もし仕事の中心が現業になるのであれば、技人国ではなく、特定技能など別の在留資格を検討するのが筋です。
▷関連記事:社長さん!!あなた逮捕されますよ!! Vol.11(不法就労助長罪)
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「“マーケティング担当”ってことにすれば通るんですよね?」
「肩書きを技人国っぽくしておけば申請は通る」——これも、よく聞く勘違いです。入管が見ているのは肩書きではなく、職務の実態です。
実際にあった不許可の例を二つ挙げます。
一つは、食品製造工場で、外国人従業員向けのマニュアル作成や海外工場の開設準備を職務として技人国を申請したケース。これは不許可でした。もう一つは、コンビニで「マーケティング要員」として申請したケース。フランチャイズは本部の方針に沿って運営される度合いが大きく、店舗単位で独自にマーケティングを行う実態がない、と判断され、これも不許可になりました。
つまり、業種や肩書きをそれらしく整えても、その業務が本当に存在し、その人がそれを担うだけの実態があるか——そこが伴わなければ弾かれます。逆に言えば、同じ人・同じような業種でも、技人国に該当する実態のある職務をきちんと設計し、申請書でその実態を説明できるかどうかで、結論は変わってきます。
正しい順番は、名目を先に作るのではなく、実態のある職務を先に固めること。会社の事業内容と職務に整合性があるか、その業務量が本当にあるかを詰めてから申請に進む。これが遠回りに見えて、いちばん早い道です。
「内定を出してから、ビザの心配は後でいい」
「いい人材が見つかったから、まず採用。ビザの話はそのあと」。気持ちは分かりますが、順番が逆です。
仮に不許可になれば、出した内定は無駄になります。本人は来日も就職もできず、人生計画が狂う。会社側も、採用にかけた時間とコストを失います。条件を変えての再申請も、最初の申請より簡単ということはありません。「採用が先、ビザは後」は、最も損の大きい進め方です。
正しい順番は、面接・内定を出す前に、職務と在留資格の適合性を確認しておくこと。判断に迷う職種であれば、内定を出す前の段階で専門家に相談してください。順番を一つ守るだけで、防げる事故です。
【今回のまとめ】
- 技人国は「技術・人文知識」「国際業務」というホワイトカラー業務のための在留資格。コンビニ・工場・調理などの現業は原則対象外。
- 範囲を超えて現業をさせると不法就労となり、社長が不法就労助長罪(3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金)に問われる。「知らなかった」「過失だった」では済まされない。
- 通るかどうかは肩書きではなく職務の実態。名目より実態を先に固め、採用・内定の前に適合性を確認するのが鉄則。
【「うちは大丈夫か?」と思ったら、その直感は当たっています】
外国人雇用のコンプライアンス違反は、「知らなかった」では済まされません。経営者本人が刑事責任を問われる例が、現実に起きています。
でも、この記事を読んでいる時点で、あなたはまだ間に合う側にいます。対応は早いほど、打てる手が残ります。
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| ステップ | 内容 | 費用(税込) |
|---|---|---|
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